高齢の方の中には、年々歯磨きやうがいなどをしづらくなっていると感じ、短時間でさっと済ませたい方が増えているのではないでしょうか。
人によっては、以前よりも雑になってしまっているかもしれません。
ですが、お口を清潔に保つ「口腔ケア」は、お体全体の健康にも影響するとても大切なことでもあります。
そこで、今回の記事では「高齢者の口腔ケア」をテーマに解説していきます。
お口の健康を維持するメリットや、ラクに口腔ケアを続けるコツなどについて紹介しています。
また、日本で開発された口腔ケア製品の情報も、目を通してほしいポイントです。
ちなみに、マッサージやストレッチなどによって口腔の機能をキープする「口腔トレーニング」は、別記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてチェックして下さいね。
高齢者の口腔ケアはなぜ必要?目的とメリットを徹底解説
最初に、高齢の方の口腔ケアにはどのようなメリットがあるのかを紹介します。ご本人・ご家族ともに納得して取り組めるよう、ぜひ知っておいていただけると幸いです。
高齢者の口腔ケア お口の健康は体全体にもプラスに!
近年、歯周病菌は、口腔内の症状だけではなく、脳梗塞や動脈硬化、心筋梗塞や誤嚥性肺炎といったお体全体の病気の原因にもなることが、研究によって明らかになりました。
そのため、お口を健康に保つことは、お体全体のためにも大切なのです。
メリット(1)口腔内を清潔に保つ
口腔ケアを行うことで、口腔内を清潔に保ち、歯周病や誤嚥性肺炎、口臭などのトラブルを予防できます。
唾液にはもともと自浄作用がありますが、高齢になると分泌量が減るため、以前よりも意識的に口腔内をケアすることが必要になります。
メリット(2)口腔機能の維持・向上
口腔ケアは、話す・食べるなどのお口の動きや、舌の機能を維持・向上させられます。それによって食事を楽しめるため、QOL(生活の質)も高めやすくなるのです。
メリット(3)誤嚥性肺炎の感染を予防する
口腔ケアには、「誤嚥性肺炎」を予防する効果があります。
年々増加する高齢の方の誤嚥性肺炎は、食事中や食後に細菌が肺に入り込むことが原因で起こります。そのため、口腔ケアによって口腔内を清潔に保ち、細菌を減らすように心がけるのです。
高齢者の口腔ケアには「本人の同意」が大切
高齢の方の口腔ケアを行う前には、必ず「本人の同意」を得ることが大切です。
同意もないままムリに行おうとすると、誤嚥が起こりやすく、口腔ケアに対してマイナスイメージが強くなってしまう危険性があります。
もし、専門的なケアが必要であれば、歯科医や歯科衛生士などによる指導も併せて行いましょう。
スムーズな高齢者の口腔ケアのために ポイント5つを紹介
高齢の方が、スムーズに快適に口腔ケアを続けるためのポイントを5つ紹介します。
器質的口腔ケアと機能的口腔ケアの違いとは?高齢者の口腔ケア
【器質的口腔ケア】
器質的口腔ケアは、歯磨きやうがいなどによって歯や歯茎などに付着している食べかすや歯垢を除去し、口腔内を清潔に保つことです。
本記事では、主にこの器質的口腔ケアについて解説します。
【機能的口腔ケア】
機能的口腔ケアは、お口のマッサージやトレーニングなどによって口腔機能の維持や回復を行うことです。
具体的な方法については、別記事の「口腔トレーニング」で詳しく紹介しています。
口腔ケアのポイント(1)口腔内のチェック
口腔ケアは、虫歯や口臭、歯茎の腫れや出血といったお口の健康状態をチェックすることから始まります。もしも気になる症状がある場合は、できるだけ早めに歯科に相談しましょう。
口腔ケアのポイント(2)誤嚥しないように行う
口腔ケアを行う際は、歯磨きやうがいなどの水や唾液を誤嚥しないように、安全な姿勢で行うことが大切です。
座って行う場合は、うつむき気味にしましょう。ベッドで行う場合は、30~45度ほど傾けてから行って下さい。
口腔ケアのポイント(3)必要最低限の補助だけにする
口腔ケアは、できるだけ本人に任せ、介護者は必要最低限の補助のみ行いましょう。そうすることで、リハビリやケアを続けてゆくモチベーションにも繋がります。
口腔ケアのポイント(4)短時間で済ませる
誰にとっても、お口の中を長時間人に見られることはあまり気持ちのよいものではありません。高齢の方は口腔内が乾きやすいため、その傾向がより強めです。
最初のうちは、長時間かけて完璧にするのではなく、短時間でさっぱりと清涼感を感じてもらえることを心がけましょう。
飲み込んでも安全な口腔ケア用ジェルなどを活用し、時短で行うこともおすすめです。
口腔ケアのポイント(5)主なケアグッズにはなにがある?
口腔ケアに使われる主なケアグッズを紹介します。
すべてを用意する必要はないので、お体の状態に合わせて選びましょう。具体的な商品について歯科医に相談するのもおすすめです。
【歯ブラシ】
通常の歯ブラシのほか、歯間ブラシ、スポンジブラシ、舌用ブラシ、義歯用ブラシ、電動歯ブラシなど、様々な種類があります。
【ガーグルベース、うがい受け】
口腔ケアの際に落ちるうがいやうがい用の水などを受けるための、小さな洗面器のような道具です。
【口腔用ウェットティッシュ】
お口の周りや口腔内などを拭き取るために便利なので、用意しておくことをおすすめします。
ラクに効果的に続けやすい!高齢者の口腔ケアにおすすめの市販品3選
高齢の方の口腔ケアには、飲み込んでも安心なジェルやジュレなどがよいでしょう。国産製品も多いので、安全面に配慮したい方にもおすすめです。
口腔ケア オーラルピース クリーン&モイスチュア 80g
「口腔ケア オーラルピース クリーン&モイスチュア」は、 日本発のバイオテクノロジー技術をベースに、水と植物由来成分のみで作られた歯磨き・口腔ケアのジェルです。
これ1つで、ブラッシングしながら歯磨きと歯垢除去、口内保湿ができます。
ケミカルフリーで飲み込んでも安心なので、 乳幼児からお年寄りまでご利用いただけます。
また、100%生分解できるため、自然に配慮した商品を使いたい方や、非常時用としてもおすすめです。
オーラルプラス口腔ケアスポンジ 60本入
「オーラルプラス口腔ケアスポンジ」は、口腔内清掃用のスポンジです。柔らかなのでこすっても痛くなりづらく、口腔内の汚れをしっかりと落としてくれます。
サイズは、長さ15cm、スポンジ部分が1.7cmのMサイズです。
「多機能スポンジ」なので、部位や用途によって使い分けられます。
凸凹面は食べかすなどの除去に、フラット面は細かい汚れの除去や保湿剤の塗布などにお使い下さい。
個包装のため、保管や持ち運びにも適しています。
アクアジュレパウチ 300g×24個
「アクアジュレパウチ」は、虫歯の原因になりにくいマルチトール・キシリトールを使用した、シュガーレスの水分補給ジュレです。水分補給と口腔ケアを同時に行うことができます。
均一でなめらかな食感で、離水しにくい点が特長です。カロリーも100g当たり約20kcalと低いので、安心してお召し上がりいただけます。
スパウト付のパウチですが、詰め替え用ボトルも別売りで販売されています。さっぱりとしたスポーツドリンク風味で続けやすいので、毎日のご利用におすすめです。
【購入者様の声】
水分とゼリーが分離せず障害者の娘にとって飲みやすいです。
価格もこちらが一番お安くて助かります。
まとめ:高齢者の口腔ケアでお口も体の健康もキープしよう
高齢の方の口腔ケアは、お口の清潔だけではなく、お体の健康とも深く繋がっています。特に、近年感染者が増えている誤嚥性肺炎を予防できる効果が高いことが明らかになり、いっそう重要視されるようになりました。
口腔ケアの方法や、適した道具の選び方などは、ご家族だけでは難しいところもあるので、歯科医などの専門家にも相談しながら始めることをおすすめします。
個包装の歯ブラシやそのまま飲み込める商品など、便利なケア製品が数多くあります。
そして、それらの大前提として、口腔ケアを行う前には必ず本人の「同意」を得るようにして下さい。ご自分で長く続けてもらうためにも、ムリなスタートはせず、しっかりと歩調を合わせるようにしましょう。