腎臓病とは
腎臓は握りこぶし大くらいの大きさでそらまめの様な形をしており背中側に2つある臓器です。
腎臓の役割としては
①尿を作り老廃物を排出する
②血液を作る
③ミネラルの調整をする
④血圧を調整する
⑤強い骨を作る
という重要な役割を担っています。
腎臓病になるとこれらの機能が低くなってしまい、あらゆる症状が出たり、いろんな病気になりやすくなったりします。
腎臓病で必要な食事制限
①たんぱく質
「たんぱく質」というとダイエットの時に積極的に摂ると良いものであったり、高齢者では筋肉を落とさないために沢山食べましょうと言われるものであったりします。
たくさん摂ると良いイメージの方がはるかに強いたんぱく質なのですが、腎臓病の場合には違うのです。
たんぱく質は口から摂取することで消化し、代謝することで良いものは筋肉などの全身の栄養になりますが、同時に燃えカスとなった「尿素」や「クレアチニン」という悪い物質も産生されます。腎臓はこれらの老廃物を無意識に尿中へ排泄してくれているのです。
腎機能が正常な方だと、たんぱく質をいくら摂取しても問題なく代謝されるのですが、
腎臓病がある中でたんぱく質を過剰に摂りすぎてしまうとそもそもの腎臓の処理能力が低いので体内にどんどん老廃物質がたまってしまうのです。
よって、腎臓病の方は疾患の程度にもよるのですがたんぱく質制限が必要となる場合があります。
②塩分
腎臓病において塩分制限はとても重要です。
腎臓は体内の余分な塩分を排泄したり、血圧をコントロールする役割を担っています。
腎臓の機能が衰えてくると塩分が排泄されにくくなることで高血圧を招き、高血圧がさらに腎臓病の進行を助長させて悪循環に陥ってしまいます。
腎臓病の場合の塩分制限としては1日に6gまでの制限が厚生労働省より推奨されています。
③その他
カリウム
カリウムは筋肉や神経の働きに不可欠な栄養素で、多くの食品に含まれています。余分なカリウムは腎臓から排泄されるのですが、腎臓病の場合では身体にカリウムが溜まりやすくなり「高カリウム血症」となってしまいます。
高カリウム血症では神経の働きが乱れてしまい、不整脈を引き起こすリスクが高まるとっても危険な状態です。
リン
リンも過剰となると通常は腎臓から排泄されるのですが、腎臓病によって身体に溜まると「高リン血症」を引き起こします。
リンはカルシウムと結合することで石灰化し、全身の血管に沈着して血管を固くしてしまうので、身体にリンがたまってしまうと全身のあらゆる病気になりやすくなってしまうのです。
おせちにはたんぱく質や塩分がいっぱい!
新年の初めに食べるおせち料理。
家族でお料理を囲んで共にする時間は特別ですよね。
しかし、おせち料理は日持ちする様に味付けが濃かったり、たんぱく質が多かったりと腎臓病の方にとっては落とし穴が沢山あるんです!
家族と同じようにおせち料理は食べられない?
せっかくのおせち料理。塩分やたんぱく質が多いから腎臓病だと、食べられないの?
いいえ!そういうわけではありません。
腎臓病の方向けに治療食のおせち料理があるのでご紹介します。
低たんぱくおせち
普通のおせち料理はえび、豚肉、卵、豆…などなどたんぱく質が多いのですが、低たんぱくおせちはもちろんお正月感は残しつつ、特別な方法でたんぱく質のコントロールがされています。
制限するからといって少ないわけでは無く、摂取しても差し支えない栄養素でボリューム感ある仕上がりとなっています。
減塩おせち
おせち料理では煮物も多く塩分が気になりますよね。
減塩おせちでは出汁や食材のうま味を上手に活かしたおせち料理が特徴です。
ただ味が薄い訳ではないので、きっと美味しく食べられることでしょう。
おせち以外にも日常使いが出来る治療食は沢山ある!
腎臓病用のおせち料理があるのは分かったけど、毎日の食事でも困っている!
という方もいらっしゃるかと思います。
自分で献立を考えるのは手間であり大変ですよね。
近年、宅配食の利用率がかなり向上しています。この宅配食に実は治療食もあるんです!
①たんぱく質調整宅配食
たんぱく質調整の宅配食は、難しいたんぱく質コントロールを自分でしなくても、たんぱく質を少なく調整した食事を宅配してくれてとても便利です。
メインのおかずや主食の量で自分の腎機能に見合った、たんぱく質量の宅配食を注文することができますよ。
②減塩宅配食
減塩の宅配食もオススメです。
減塩と聞くだけで「味気ない」イメージをもたれがちですが、栄養士さんがバランスよく献立を考えた内容になっています。
ただ味が薄いだけでは無く、メリハリのある味付けで満足感があったり、酢や香辛料を使用して少ない塩分でしっかり味を感じられる工夫がなされています。
腎臓病のおせち料理レシピ!
①減塩筑前煮
★だし割醤油を使用して、素材の味を活かした減塩筑前煮です。
鶏もも肉:20g
こんにゃく:1/4枚
レンコン:2cm
人参:3cm
絹さや:2枚
油:大さじ1(炒め用)
水:150cc
●出汁割醤油:小さじ2
●みりん小さじ1と1/2
●酒:小さじ1
●砂糖:小さじ1/2①鶏もも肉は一口大に切る。
②人参、レンコン、こんにゃくは食べやすい大きさに切る。
③鍋に油を熱して鶏肉、絹さや以外の野菜の順で炒める。
④水に●を加える。
⑤具材に火が通り、煮汁が少なくなるまで煮る。
⑥仕上げの直前に絹さやを入れる。
②さっぱり紅白なます
★酢の物は煮物よりも塩分が少ないので是非取り入れましょう。
大根:3cm
人参:3cm
お好みで:ゆずの皮
●酢:大さじ1
●砂糖:大さじ2/3
●塩:少々①大根と人参は千切りにする。
②●を合わせてお好みでゆずの皮を入れて冷蔵庫でなじませる。
③魚の照り焼き
★少量のたれで上手に焼くことで減塩に!
ぶり:1切れ
●水:大さじ1/2
●酒:大さじ1/2
●醤油:大さじ1/2
●みりん:大さじ2/3
サラダ油:適量①フライパンにサラダ油を熱し、ぶりを両面焼く。
②●を加えてフライパンを上手にかたむけながら魚になじませる。
③余分なたれはペーパーでふき取る。
おうちごはんに!腎臓病レシピ
①豚バラとんかつ
★たんぱく質制限の方に!薄切り肉を使用してたんぱく質は少なめですがボリュームはたっぷりです。
豚バラ薄切り肉:3枚
お好みの野菜やキノコ:適量
塩こしょう:少々
小麦粉:適量
卵:適量
パン粉:適量①豚バラ肉に塩こしょうを振る。
②お好みの野菜やきのこを豚バラで巻く。
③小麦粉、卵、パン粉の順につけて180度の油できつね色になるまで揚げる。
①減塩!カレームニエル
★香辛料を使用することで少ない塩分でもしっかり味を感じられます。
魚:1切れ
小麦粉:魚につく程度
カレー粉:小さじ1/2
バター:5g
塩こしょう:少々①小麦粉とカレー粉は合わせておく。
②魚に塩こしょうをして①をまぶす。
③フライパンにバターを熱し、魚を両面こんがりするまで焼く。
①マカロニサラダ
★たんぱく制限、塩分制限をしている時は糖質や脂質を上手に使用してエネルギー補給をしましょう。
マカロニ:20g
胡瓜:10g
マヨネーズ:大さじ1
塩こしょう:少々①きゅうりは2-3mmの輪切りに切る。
②マカロニは表記通りにゆでる。
③茹であがったマカロニはすぐに冷水にさらす。
④マカロニと胡瓜をマヨネーズで和えて、塩こしょうで味を整える。
まとめ
今回は腎臓食向けの宅配食やおせち料理をご紹介しました。
腎臓病の食事はステージ(病期)によって制限する内容が異なってくるので食事療法の中でもかなり難しい部類に入るのではないでしょうか。
「自宅で全部調理するのも難しい!」そのような時はお手軽に食事療法の手助けとなる市販品も販売されているので利用してみてくださいね。介護食・腎臓病食・治療食の通販専門店ビースタイルでも腎臓病食のおせちを販売しております。毎年9月頃から予約を受付しておりますので、是非ご確認ください。