介護食を食べている方も、おやつが食べたいと思う方もいらっしゃるでしょう。
できるだけ要望を叶えてあげたいと思っても、どのようなおやつを準備すれば良いのか分からないというご家族も多いのではないでしょうか。
実は、基本さえ押さえておけば、介護食を食べている方でも安心して食べられるおやつを用意することは決して難しいことではありません。また、1回の食事量が減っている方にとって、おやつは栄養補助としての重要な役割を担っています。
今回は、介護食向けのおやつについて解説しますので、手作りしてみたい方や気になる方はぜひご参考ください。
介護食におけるおやつの役割
「介護食」とは、咀嚼や嚥下などの食事に必要な能力が低下してしまった方向けの食事です。一般的に「介護食=食事(朝食や夕食など)」というイメージをお持ちの方も多いのですが、「おやつ」も介護食において重要な役割があります。
ここでは介護食におけるおやつの役割や重要性についてご説明していきます。
栄養補助としての役割
食事では摂取しにくい栄養素や、不足しがちな栄養素をおやつで補うことができます。また、1回の食事量が減ったり、介護食になり食欲が湧かないという方にとって、おやつはエネルギー源の一つになります。
とはいえ、食事はほとんど食べず、おやつばかり食べてしまうとバランスが偏ったり、糖分を摂取しすぎてしまい糖尿病のリスクが高まるということもありますので、あくまで栄養補助食品として活用しましょう。
食べることの楽しみを感じてもらう
介護食は食事形態が限られるため、食感や見た目が同じようなものになりがちです。同じような食感や味、見た目の食事ばかりが続くと、食欲が湧かなくなってきます。結果として、食事をすることに関心が無くなってしまい、低栄養になる可能性があるのです。
おやつを取り入れることで、いつもの食事とは違う食感や味を楽しんでもらうことができ、食べることの楽しみを感じてもらうことができます。
おやつで摂取したい栄養素
介護食では不足しがちな栄養素は、おやつで積極的に取り入れていくことがお勧めです。
ここでは、要介護者の方に不足しがちな栄養素、その効果、おやつやデザートで活用できる食材の例についてまとめました。
おやつに使用する食材として参考にしてみてください。
栄養素 | 効果 | 食材例 |
---|---|---|
タンパク質 | 免疫力の向上 筋力の向上 |
牛乳 卵 大豆、小豆 |
ビタミン | 疲労回復 皮膚の健康維持 風邪予防 |
野菜 果物 |
カルシウム | 骨粗しょう症予防 骨折の予防 |
牛乳 ヨーグルト チーズ 小魚 |
鉄分 | 免疫力の向上 疲労回復 貧血予防 |
ナッツ類 桃 イチジク |
食物繊維 | 腸内環境の改善 | サツマイモ トウモロコシ ドライフルーツ |
介護食に適切なおやつの選び方
介護食を用意する際に注意するべきなのは「食事形態」の適切な選択です。これはおやつにおいても同じことです。
まずは食べる方の食べる力に合わせて、舌でつぶせる、かまなくて良い、など柔らかさや大きさを選びましょう。また、飲み込みやすさについても注意して、ゼリー状やムース状、くず湯のような飲み物など飲み込みやすいものを選択し、誤嚥のリスクを無くしましょう。
次に、補助食品として不足している栄養素を補えるか、水分不足になりがちな暑い日は水分も合わせて補給ができるか、見た目が楽しく食欲が湧くものかなどの視点から選んでいきます。
高齢になるとのどの渇きを感じにくくなり、気付かないうちに脱水症状に陥ることがあります。そのため、水分もビタミンも一緒に摂取できる果物はおやつとしても最適です。そのまま食べるのが難しい場合は、細かく切ってヨーグルトに混ぜたり、果汁をゼリー状に固めたりするのも良いでしょう。
また、おやつ=甘い物と考えてしまうかもしれませんが、子どもの間食のようにお好み焼きや中華まん、チーズ、ソーセージなどもおやつになります。おやつでお腹がいっぱいになり、食事ができないということにならないように調整しながら、おやつを活用していきましょう。
介護食に向いているおやつ
介護食では、通常の食事(朝食、昼食、夕食)はもちろん重要であり、栄養バランスの整った美味しい介護食でしっかりと栄養を摂取してもらう必要があります。
とはいえ、食べることの楽しみを忘れないためには、おやつ・デザートも大事な役割です。
普通のごはんは食欲がわかないけれど、おやつなら食べられるという方であれば、貴重な栄養摂取の機会にもなります。
「介護食に向いているおやつ」にはどのようなものがあるか、いくつか例をご紹介します。
ゼリー
使用する果汁を変えることで、色々な味や見た目のゼリーを作れるため、飽きにくい優秀なおやつです。
作り方は、ジュースなどのベースとなる食材にゼラチンなどを混ぜて冷やすだけなので、手作りの負担が少なくて済みます。
ただし、ゼラチンを入れ過ぎると硬くなりますので、ちょうどよい柔らかさに仕上げましょう。
プリン
ゼリー同様に柔らかく、好んで食べている方も多いおやつです。シンプルなものであれば卵と牛乳、砂糖だけで作ることも可能なのでコスパが良いですし、市販品もバリエーションがあります。
クリームや季節のフルーツで彩りを添えれば、見た目も華やかになり、満足感の高いおやつに仕上がるでしょう。
羊羹
和菓子には「せんべい」などの硬い食べ物も多いですが、柔らかい羊羹であれば問題なく食べられるでしょう。
洋菓子が苦手という方にはゼリーやプリンは適さないため、市販の羊羹を買い置きしておけば便利です。寒天入りの羊羹であれば、お湯で溶かして「おしるこ」にできますし、そのおしるこの残りを冷蔵庫で冷やせば「水羊羹風(柔らかめ)」にもアレンジできます。
ババロア
プリンやゼリーに近いおやつとしてババロアもおすすめです。
ちなみに、ババロアとプリンの違いは「プリン:卵で固める、ババロア:ゼラチンで固める」となっています。
スーパーによっては売っていないところもありますが、介護食を取り扱うネットショップであれば売っているところが多いのでおすすめです。
・はい!ババロア ストロベリー76g【高カロリーゼリー】【低たんぱく】
ムース
同じようなおやつに「ムース」もおすすめです。
ムースがおすすめの理由は、おやつだけでなく「おかず」としても有用な点が挙げられます。
たとえば野菜のムースを主菜に添えれば、簡単に彩りと栄養をアップさせることが可能です。
介護食のおやつレシピ【ババロア】
今回はババロアを手作りするためのレシピを紹介します。
・牛乳:250cc
・卵黄:3個
・生クリーム:130cc
・グラニュー糖:50g
・ゼラチン:5g
・水:大さじ1
・バニラエッセンス:少々
(作り方)
①ゼラチンを水でふやかしておく
②卵黄を白っぽくなるまで溶き、グラニュー糖を加え泡立て器で混ぜる
③鍋で牛乳を沸騰させないよう注意しながら温め、バニラエッセンスを加えてから火を止めてゼラチンを溶かす
④③を少量ずつ②に加えて混ぜ、生地を濾してから粗熱をとる
⑤生クリームを8分立てにし、その1/3を④に入れて馴染ませる
⑥残りの生クリームを加えて混ぜ、カップに入れて冷蔵庫で3~4時間ほど冷やし固める
⑦お好みでフルーツソースをかけたりトッピングを乗せて完成
まとめ
今回は、介護食向けのおやつについて解説しました。
介護食のおやつは、食べる楽しみを忘れないためや、不足している栄養の補給などに役立ちます。おやつにおいても、食べる方に合わせて最適な食事形態を選択することが重要になります。プリンやムース、羊羹など食べやすいものを選ぶと良いでしょう。
介護食の通販専門店ビースタイルでは、介護食用のごはんやおかずだけでなく、介護食用のおやつも豊富に取り揃えています。栄養補給にも役立てたいけど、おやつやデザートまで手作りするのは大変という方や、手作りは味やレパートリーが偏ってしまうという方は、市販の介護食もぜひ利用してみてくださいね。