なんとなく高齢者に【お餅】は危険!というイメージを持っていませんか?
確かにお餅は毎年事故の原因になっている食べ物ではありますが「高齢者は絶対にお餅を食べることはできない」というわけではありません。
もちろん、事故にならないようにお餅を楽しんでもらうためには、相応の注意を払う必要はあります。
今回は、高齢者でもお餅を安全に食べるための方法について解説します。また、安心してお餅を食べるための介護食レシピもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
高齢者にお餅が危ないとされている理由は?
冒頭でも触れていますが「高齢者=お餅を食べるのは危険」というイメージをお持ちの方は少なくありません。ここでは、高齢者の方がお餅を食べるときに事故になりやすい理由についてご説明します。
口の中の水分が少ない
1つ目の理由は「高齢者は口のなかの水分量が若者ほど多くない」ことが挙げられます。
通常、食事に際しては咀嚼などの影響で「唾液」が分泌されますが、高齢者はそもそも身体のなかの水分量が若者ほど多くないので唾液の分泌量も少なくなってしまいます。
お餅も水分が少ない食べ物で、かつ弾力があり咀嚼しにくいので中々飲み込めないという状況になります。
のどに詰まりやすい
2つ目の理由は「お餅がのどに詰まりやすい」ことで、これが最も危険だとされている理由になります。
前述のとおり、高齢者は唾液の分泌量が少なくなってしまうため、十分な唾液が分泌されていない状態でお餅を飲み込んでしまうことがあります。
その結果、のどでの滑りが悪くなってしまい、お餅が飲み込めずのどに詰まって窒息の原因になるのです。
ある年の国勢調査によると、年齢を重ねるにつれて気道の閉塞による救急搬送の件数が多くなっています。
介護食でお餅を食べる方法とは?
ここまで読んでいただいて、高齢者にはお餅を食べるのを控えてもらうしかないと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、お正月や普段の食事、おやつとしてお餅を食べたいと考える方もいらっしゃるでしょう。食事の楽しみを奪うことは食欲減退による低栄養のリスクを高めることになりますので、できるだけ希望を叶えてあげたいものです。
では、高齢者に安全にお餅を食べてもらうためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
食べやすい工夫をする
まずは「お餅を食べやすいように工夫する」ことが基本となります。
たとえば、のどに詰まりにくいようにするために、お餅を小さめにカットして提供する方法や、水分対策としてお餅を食べる前に飲み物や汁物を飲んで口のなかの水分量を増やしておくといった方法があります。
また、焼くよりも煮込んだ方が気道閉塞のリスクが抑えられますし、お餅の粘り気を抑えられる大根おろしと一緒に召し上がっていただくといった方法もあります。
既製品を利用する
「既製品のお餅を利用する」という方法もあります。具体的には「のどに詰まるリスクの少ないお餅」を購入するという方法です。
通常、お餅というものは「もち米」を利用して作られていますが、もち米は通常の「うるち米」よりも粘り気があり、気道閉塞や誤嚥などのリスクを高めます。
そこで、もち米を使っていない「代替餅」を食べてもらうという方法がおすすめです。
もち米を使っていないと、味や香りで劣るのでは?と思われるかもしれませんが、最近は製造技術が向上して本物そっくりの味や香りの代替餅も登場しています。
・グンプンのNRでんぷんもち 45g×12個
・やわらか福もち 125g×8本
また、大根おろしや納豆などで水分やとろみを追加して食べやすくするという方法もあります。また、汁物と煮込むときには「とろみ」を付け加えることもおすすめです。
水溶き片栗粉だと唾液で分解されて元の食感に戻ってしまうため、とろみ剤を利用することをおすすめします。
・ネオハイトロミールIII 2kg とろみ剤 フードケア
介護食に!お手軽お餅レシピ3選!
せっかくお餅を食べるのであれば、少しでも美味しく、さまざまな料理を楽しんでもらいたいところです。
そこで、介護食向けのお餅を使ったレシピを3つ紹介します。
お雑煮風
お正月の料理の定番であるお雑煮のレシピです。
汁物は水分量が大きいため、お餅を食べやすい大きさにカットして入れておけば比較的安全に召し上がっていただくことができます。
味付けをアレンジして、お正月以外のシーズンにも楽しんでもらうことが可能です(以下のレシピはお餅風の食材を使って京風雑煮に仕上げています)。
・白玉粉:50g
・木綿豆腐:60g
・里いも:100g
・大根:40g
・ニンジン:40g
・ほんだし:4g
・白みそ:50g
・水:600cc
(作り方)
①白玉粉・木綿豆腐を混ぜてなめらかになるまで練り、円盤状に丸める
②鍋にたっぷりの湯を沸かして①を入れて茹で、浮いてきてからさらに2分茹でる
③②を氷水にとって冷やしてから水気をきっておく
④鍋に水・ほんだし・白みそを入れて沸騰させる
⑤野菜を食べやすい大きさにカットして、④に入れて煮る
⑥野菜が煮えたら③を入れて温める
⑦器に盛って、お好みで鰹節をふって完成
やきもち風
調理手順が少なく、味のアレンジもしやすいお餅料理です。
ただし、煮込み系・汁物系の料理と比較すると表面の水分量が少なく、のどに詰まるリスクが高まります。
添え物やあんかけなど、飲み込みやすくなる工夫を意識して調理することが重要です。
・代替餅:食べたい量
・大根:お好みで必要な分量
・納豆:お好みで必要な分量
・しょうゆ:適量
(作り方)
①お餅を温めて切りやすくする
②温めたお餅を小さくカットする(その後くっつきやすいので注意)
③大根おろしと納豆を用意しておく
④②に③をかけ、お好みでしょうゆを垂らせば完成
デザート(おしるこ)
食事以外にも、デザート・おやつとしてもお餅は大活躍です。
アレンジによる味の変化もしやすく、満足感の高い料理となっていますが、上記同様に気道閉塞のリスクを考慮して食べやすい工夫をこらしましょう。
・代替餅:食べたい量
・あんこ:300g
・水:200cc
・塩:少々
(作り方)
①お餅を温めて切りやすくする
②温めたお餅を小さくカットする(くっつきやすいので注意)
③鍋にあんこ・水・塩を入れて、かき混ぜながら中火で加熱する
④あんこが溶けたら一度火を止める
⑤カットしたお餅を④に入れて中火でひと煮立ちさせる(必要に応じてお餅を入れる前にとろみをつけておく)
⑥器に盛って完成
まとめ
今回は、高齢者でも安全にお餅を召し上がっていただける方法について解説しました。
高齢者がお餅を食べるときには、のどに詰まらせるリスクが高いということを意識した上で、小さく切ったり、飲み込みやすいように柔らかく煮込む、水分と一緒に摂取するなどの工夫が必要です。
また、介護食用のお餅をネットショップなどで購入することができます。
お餅を食べたいと考えている高齢者には、さまざまな工夫をしたレシピで美味しく安全にお餅を楽しんでもらうことができます。
介護食の通販専門店ビースタイルでは、一般的な介護食のメニューだけでなく、介護食向けのお餅もラインナップしていますので、お餅をお求めの場合はぜひ利用してみてくださいね。