食事に必要な咀嚼や嚥下といった能力が低下してしまった方には「介護食」が必要ですが、介護食にも種類があることをご存知でしょうか。
どんな種類があるの?どんな介護食であれば適切なの?といった疑問を感じる方は少なくないはずです。
今日は、介護食の「区分」について解説しますので、介護食に関する知識を深めたい方はぜひ最後まで読んでくださいね。
介護食の区分とは
介護食とは、食事に必要な能力が低下してしまった方でも安全に食べられるように工夫されている料理のことです。
かむ力や飲み込む力が低下してしまうと、通常の食事では誤嚥や気道閉塞などの命に関わる事態に陥るリスクが高まります。
そこで、通常よりも柔らかく、飲み込みやすいように調理したものが介護食なのです。更に、この「通常よりも柔らかい」「通常よりも飲み込みやすい」という条件の中でもレベル・程度というものがあります。
例えば「通常よりもちょっとだけ柔らかくてかみやすい」「かまなくても飲み込める」というように、同じ「柔らかい」でもレベルが違いますよね。
安全に食べられるように、一番柔らかい食事を選べば良いのではないかと考える方もいるかもしれませんが、それも間違った選び方です。
人間というものは、何かをしなくなるとその能力が衰えてしまいます。たとえば咀嚼をしなくなればかむ力が低下してしまいます。柔らかさのレベルが高い介護食は、かむ力がほとんどなくなってしまった方でも食べられる介護食なのですが、かむ力が残っている人がこの柔らかさの食事を続けるとかむ力が衰えていきます。
つまり、その人に残っている「食べるための能力」に合わせて、最適な柔らかさ・飲み込みやすさを持った食事を提供できるように、介護食には区分があるのです。
ユニバーサルデザインフード(UFD)とは
「ユニバーサルデザインフード」とは、通常の食事から介護食用の食事まで、幅広い人が共通して食べられるようにした、食べやすさに配慮した食品のことです。
ユニバーサルデザインフードのパッケージにはとあるマークが印字されており、日本介護食品協議会が制定した規格を満たしている食品であることを簡単に把握できます。
画像引用:日本介護食品協議会|ユニバーサルデザインフードの商品パッケージ例
ユニバーサルデザインフード(UFD)の区分と選び方
介護食を提供するにあたって、最も重要なことは「食べる人に合わせて最適な区分を選択する」ことです。
ユニバーサルデザインフードでは、介護食を柔らかさや飲み込みやすさに応じて4つの区分で分類しており、ユニバーサルデザインフードを利用することによって、事故リスクの少ない介護食を適切に選択できます。
画像引用:日本介護食品協議会|ユニバーサルデザインフードの選び方(区分表)
容易にかめる
最も程度の低い区分は「容易にかめる」という区分です。
・かむ力の目安:かたいものや大きいものはやや食べづらい
・飲み込む力の目安:普通に飲み込める
・かたさの目安:ごはん~やわらかごはん、厚焼き玉子、やわらか肉じゃが
介護食を必要とするようになった方が、おそらく最初に食べることになるであろう介護食の区分です。
咀嚼・嚥下ともに多くの力が残っていますが、かむ力がやや低下しているため、通常よりもやわらかい食事を提供する必要があります。
歯茎でつぶせる
2つ目の区分は「歯茎でつぶせる」という区分です。
・かむ力の目安:かたいものや大きいものは食べづらい
・飲み込む力の目安:ものによっては飲み込みづらいことがある
・かたさの目安:やわらかごはん~全がゆ、出し巻き卵、柔らかい肉じゃが(具材小さめ)
食事に関する能力が全体的にやや低下している方向けの介護食です。
介護食とは言え、まだまだ通常の食事に近い形を保っていますので、食事の楽しみは十分に満喫できるでしょう。
舌でつぶせる
3つ目の区分は「舌でつぶせる」という区分です。
・かむ力の目安:細かくて柔らかければ食べられる
・飲み込む力の目安:水やお茶が飲みこみづらいことがある
・かたさの目安:全がゆ、スクランブルエッグ、柔らかい肉じゃが(具材小さめ、さらに柔らかい)
ここまで能力が低下してしまうと、通常の食事では困難を感じることが多くなります。
食事の形態もまだまだ原型に近い形ではありますが、柔らかさ・飲み込みやすさをかなり意識した調理法を実践しなければなりません。
かまなくてよい
最後の区分は「かまなくてよい」という区分です。
・かむ力の目安:固形物は小さくても食べづらい
・飲み込む力の目安:水やお茶が飲み込みづらい
・かたさの目安:ペーストがゆ、柔らかい茶碗蒸し(具なし)、ペースト肉じゃが
食べるための能力が大幅に低下しているため、ペースト状の食事が中心となります。
食感がなくなるなど食事の楽しみが減ってしまうため、レパートリーを増やして食事の楽しみを維持し、食欲減退を防ぎましょう。
ペースト食は、食べるための能力の低下度合に関わらず共通して食べることは可能です。しかし、かむ力や飲み込む力がまだ残っている方に提供し続けると、必然的に咀嚼などの階数は減ってしまい、かむ力がさらに衰えてしまいます。
要介護者の中には、介護食で食べる訓練をすることでかむ力が回復したというケースもあるため、適切な柔らかさの食事を提供する必要があるのです。
それぞれの食事形態に応じたレシピ特集!
最後に、ユニバーサルデザインフードの区分に則したレシピを2つ紹介します。
今回紹介するのは「ペースト肉じゃが」と「柔らか羊羹」です。
ペースト肉じゃが【かまなくてよい】
・肉じゃが:100g
・肉じゃがの煮汁:50cc
(作り方)
①肉じゃがを作る(ミキサーすることを考えて柔らかめに煮ておく)
②肉じゃが・煮汁をミキサーで撹拌する
※ミキサーにかける時間を変えることで粗さを調整することができます。
③器に盛って完成
柔らか羊羹【容易にかめる~かまなくてよい】
ゲル化剤(固形化調整剤)の分量を変えることで、固さを調節することができます。とろみをつける程度にすると、かまなくてよいの区分にもなります。ゲル化剤の製品の使用方法も参考にして分量を調整してみてください。
・さらしあん:11g
・砂糖:20g
・ゲル化剤(固形化調整剤):商品説明の分量に応じて調整
・水:50cc+α
(作り方)
①さらしあん・砂糖・水(50cc)を混ぜる
②鍋にゲル化剤(固形化調整剤)・水(ゲル化剤に合わせて計量)を入れて混ぜる
③②に①を混ぜて、焦げないように混ぜながら、ひと煮立ちさせる
④型に流し込んで冷やす
⑤固まったら適当な大きさにカットして盛り付けして完成
まとめ
今回は、介護食の区分について解説しました。
介護食を選ぶときのポイントとして以下のような点をお伝えいたしました。
・食べるための能力は人によって異なる
・ユニバーサルデザインフードでは4つの区分に分けられている
・能力に合わせて最適な区分を選択することが重要
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【UDF区分 容易にかめる】の介護食一覧はこちら
【UDF区分 歯茎でつぶせる】の介護食一覧はこちら
【UDF区分 舌でつぶせる】の介護食一覧はこちら
【UDF区分 かまなくてよい】の介護食一覧はこちら