タンパク質の摂取という面から介護食においても肉料理は欠かすことができません。お肉が好きな方にとっては、肉料理があるだけで食事に楽しみを感じることができます。しかし、食事に対する機能が低下している方に向けて提供する肉料理には、気をつけておきたいポイントがあります。
この記事では、介護食における肉料理のポイントや、実際に日々の献立に活用できる介護食の肉料理レシピをご紹介しています。日々の献立に肉料理をもっと取り入れたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
介護食の肉料理は食事をする方の食べる能力に合わせるのが大事
介護食の料理を提供する際は、食べる方の能力に合わせることが重要です。人によっては、噛みにくい食品や、飲み込みにくい食品があるため、食事を提供する方がどのようなレベルで食事をすることができるのか、事前に把握しておきましょう。
特に介護食における肉料理は、お肉をそのまま提供すると、硬くて噛みにくいといったケースが多いので注意が必要です。提供する方にとって食べやすく、飲み込みやすい状態で料理を出すことが重要になります。
介護食を作る際に便利な道具
介護食を作る際に便利な道具を5つご紹介します。
- フードプロセッサー
- ハンディブレンダー
- ゴムベラ
- こし器
- とろみ剤
上手に活用することで、調理の手間を減らし、食事をする方に合わせた料理が提供できます。介護食を調理する際は、ぜひ準備してください。
フードプロセッサー
ケースに食材を入れて、スイッチを入れることで、みじん切りやペースト状に加工できます。さまざまなカッターの刃が用意されており、製品によってはスライスや擦りおろしにも対応します。使用後の洗う手間はありますが、素早く食材の加工ができるため、調理時間の時短に繋がります。介護食では利用する機会が多いので、1台あると便利です。
ハンディブレンダー
サイズが小さく手に持って使用するため、小回りがきくので使いやすいのが特徴です。いろいろなアタッチメントがあるので、刻み食やとろみ食などを作る際に便利な道具になります。鍋の中で直接使用できるので、そのまま具材をつぶして調理を進めることも可能です。
ゴムベラ
介護食ではペースト状や液状にした状態の食材を使う場合が多いため、ゴムベラは欠かせません。食材を取りこぼすことなく集められるので、無駄を減らせます。また、ペースト状の食材を混ぜるときにも重宝するので、調理をする際に1つは準備しておきましょう。
こし器
こし器は、繊維の多い食材をつぶした際に使います。繊維が残っていると、咀嚼や嚥下の際に負担になるケースがあります。そのため、こし器を使って不要な繊維を取り除いてあげましょう。また、ペースト状にした食材も、こし器でこしてあげるとなめらかな舌触りになり、食べやすいです。
とろみ剤
とろみ剤は介護食を作る上で欠かすことのできないものです。特に嚥下機能の低下している方にとっては、通常の食事では食べることが難しいため、とろみをつけたなめらかな状態の食事を提供する必要があります。簡単かつ急速にとろみをつけることができるため、使用した経験がない方でも使いやすいです。
とろみ剤の種類は豊富でそれぞれに特徴があるので、作りたい料理に合わせたとろみ剤を選択しましょう。
介護食の肉料理の簡単レシピ8選
ここでは、介護食の簡単肉料理のレシピをご紹介します。
- 焼肉(えんげ食・介護食)
- 牛肉とゴボウのしぐれ煮
- 鶏キャベツ
- ピーマンの肉詰
- 鶏の蒲焼
- 豚の生姜焼き
- 野菜たっぷりハンバーグ
- 豚の角煮
日々の献立に、ぜひご活用ください。
1.焼肉(えんげ食・介護食)
肉の旨味を感じつつ、食べやすい一品です。ゲル化剤(固形化調整食品)で固めているので、60℃前後まで温めてお召し上がりいただけます。
<材料> 1.牛肉薄切り:60g 2.だし汁:45g 3.ゲル化剤(固形化調整食品):0.5g 4.焼肉のたれ:10g |
<手順> 1.牛肉を茹で下準備をする。 2.牛肉・だし汁・ゲル化剤を計量します。 3.ミキサーに牛肉・だし汁・ゲル化剤(固形化調整食品)を入れ、なめらかになるまで撹拌します。 4.攪拌したものを鍋に入れ火にかけます。 5.焦げないように混ぜながらひと煮立ちさせます。 6.ラップを敷いたバットに流し込みゼリー状に固めます。(ゼリーは70℃以下になると固まり始める) 7.固まったら大きめのスプーンを使って切り分けます。 8.お皿に盛りつけ焼肉のタレをかけて完成です。 |
2.牛肉とゴボウのしぐれ煮
ごぼうを斜めに薄切りにすることで繊維を切断しているため、食べやすくなっています。牛肉の旨味も十分に感じられる一品です。
<材料> 1.牛肩ロース肉:100g 2.ごぼう:100g 3.しょうが:15g 4.砂糖:大さじ1/2+小さじ1 5.酒:大さじ1 6.しょうゆ:大さじ1+小さじ2 7.ごぼうをさらした水:カップ1/2 8.サラダ油:小さじ1 9.七味:お好みで |
<手順> 1.牛肩ロース肉を一口大に切ります。 2.ごぼうは斜め薄切りにし水にさらします。 3.しょうがは薄切りしてから千切りにします。 4.熱した鍋にサラダ油をしき、牛肉・しょうがを加え、肉の表面の色が変わるまで炒めます。 5.砂糖大さじ1/2を加えひと混ぜし、酒・しょうゆ大さじ1を入れサッと煮て、肉を一度取り出します。 6.鍋にごぼうと、ごぼうをさらした水を加え、落としぶたをします。 7.煮立つまで強火にし、10分ほど煮込んでいきます。 8.ごぼうが柔らかくなったら砂糖小さじ1・しょうゆ小さじ2を入れ中火します。 9.混ぜながら煮込んでいきます。 10.煮汁がほとんどなくなったら肉を戻し、サッと混ぜて火を止めてから2~3分おきます。 11.器に盛り、お好みで七味をかけて完成です。 |
3.鶏キャベツ
とろみ剤を活用し、食べやすくしています。味にメリハリをつけ、味わいを感じやすくしているのが特徴です。
<材料> 1.キャベツ:2枚 2.白だし:少々 3.塩・胡椒:少々 4.コンソメ:少々 5.鶏胸肉のひき肉:50g 6.つるりんこ(キャベツ用のとろみ剤):大さじ2 7.つるりんこ(ひき肉用のとろみ剤):大さじ2 |
<手順> 1.キャベツを小さめに切ってから茹で、茹で汁ごとミキサーにかけます。 2.白だし・塩・胡椒で味付けし、つるりんこでとろみをつけます。 3.鍋にひき肉と水で茹でながら、コンソメで味を整えます。 4.ミキサーにかけてつるりんこでとろみをつけます。 5.キャベツに鶏肉をのせて完成です。 |
4.ピーマンの肉詰
冷めても美味しく食べられるので、作り置きにも向いています。ボリューム満点の一品です。
<材料> 1鶏ひき肉:100g 2.豚ひき肉:25グラム 3.ピーマン:3個 4.みじん切りのねぎ:大さじ1 5.生姜のしぼり汁:小さじ½ 6.だし:100ml 7.濃口醤油:大さじ1 8.みりん:大さじ1 9.砂糖:大さじ1 10.片栗粉:小さじ1 11.片栗粉を溶く水:小さじ½ 12.塩:少々 13.コショウ:少々 14.赤とうがらし(お好みで):1本 15.サラダ油:小さじ1 |
<手順> 1.フードプロセッサーに鶏ひき肉・豚ひき肉・食パン・ねぎを入れて撹拌します。 2.卵・塩・コショウを加えて滑らかになるまで撹拌します。 3.ピーマンは縦切りにして種を取って片栗粉(分量外)を振るいます。 4.最初に作った生地をスプーンでしっかりと詰めます。 5.フライパンにサラダ油をしき、肉の面を下にして焼いていきます。 6.ひっくり返して焼いていきます。 7.だし・砂糖・みりん・醤油を加え(お好みで赤唐辛子も)フタをして蒸し焼きにします。 8.水溶き片栗粉を回し入れます。※煮汁が少なかったらだしを足して調整します。 9.器に盛り付けて煮汁をかけたら完成です。 |
5.鶏の蒲焼
鶏つくねを使用することで、非常にやわらかくなるので、嚥下機能が低下している方でも食べやすいです。手間も少なく簡単に作れます。
<材料> 1.うなぎのタレ:大さじ2 2.鷄つくね:200g 3.小麦粉:少々 4.サラダ油:少々 |
<手順> 1.鶏のつくねを平らにします。 2.箸で押してうなぎの蒲焼のようにします。 3.広げた鶏のつくねに小麦粉を振ります。 4.フライパンにサラダ油を少し入れて中火で焼きます。 5.こんがり焼けたらひっくり返して焼いていきます。 6.表側もこんがり焼けてきたら、ペーパータオルで油をとります。 7.うなぎのタレを入れてタレを絡めたら完成です。 |
6.豚の生姜焼き
しゃぶしゃぶ用の豚肉を使用するため、やわらかく仕上がります。生姜が食欲をそそる人気の料理です。
<材料> 1.豚肉しゃぶしゃぶ用:70g 2.砂糖:少々 3.こしょう:少々 4.小麦粉:小さじ1 5.サラダ油:少々 6.レタス:1枚 7.生姜すりおろし(たれ):少々 8.酒(たれ):小さじ2 9.しょうゆ(たれ):小さじ1 10.砂糖(たれ):少々 11.片栗粉(たれ):小さじ1 12.水(たれ):小さじ2 |
<手順> 1.豚肉に砂糖・こしょうをまぶし、小麦粉をつけます。 2.フライパンに油をひき、焦げ目を付けずに豚肉を焼きます。 3.あらかじめたれに使う調味料を混ぜておき、フライパンに加えてとろみが付いたら皿に盛りつけます。 4.レタスはせん切りにして水に浸し、水気をよく切ってから盛りつけて完成です。 |
7.やわらかハンバーグ
焼き上がったハンバーグを使用するので、ご家族で一緒に作ったものから調理できます。手軽に作れるのでぜひお試しください。
<材料> 1.調理済みのハンバーグ:60g 2.コンソメスープ:45g 3.ゲル化剤(固形化調整食品):0.5g |
<手順> 1.ハンバーグ・コンソメスープ・ゲル化剤(固形化調整食品)を計量します。 2.ハンバーグ・コンソメスープ・ゲル化剤(固形化調整食品)をミキサーにかけ、なめらかになるまで撹拌します。 3.攪拌したものを鍋に入れて火にかけます。 4.焦げないように混ぜ、ひと煮立ちさせていきます。 5.容器に流し込み固めていきます。(70℃以下になると固まってきます) 6.固まったらお好みでハンバーグソースをかけて完成です。 7.ゲル化剤(固形化調整食品)で固めたものは65℃まで温め可能です。 |
8.豚の角煮
調理済みの角煮を使用するため、手間なく簡単に作れます。ゲル化剤(固形化調整食品)を使用しているので、舌でつぶせて食べやすいやわらかさです。
<材料> 1.豚の角煮:50g 2.だし汁:40g 3.ゲル化剤(固形化調整食品):0.5g 4.角煮のたれ:10g |
<手順> 1.豚の角煮・だし汁・ゲル化剤(固形化調整食品)を計量します。 2.豚の角煮・だし汁・ゲル化剤(固形化調整食品)をミキサーにかけ、なめらかにしていきます。 3.混ぜたものを鍋に入れ火にかけます。 4.混ぜながらひと煮立ちさせていきます。 5.ラップを敷いたバットに流し込み、角煮くらいの厚さに調整します。 6.ゼリー状に固まったら適当なサイズに切り分けて器に盛りつけます。(70℃以下になると固まってきます) 7.角煮のたれをかけたら完成です。(固めた角煮は65℃まで温め可能です) |
手間要らずで使える肉料理の介護食品3選
介護食の通販専門店”ビースタイル”で販売している肉料理の介護食をご紹介します。手間なく食べられるので、忙しくて料理を作る時間が取りにくい方にもぴったりです。ぜひ日々の献立に活用してください。
【冷凍】あいーと 肉じゃが
舌でつぶせるやわらかさなのにもかかわらず、見た目は肉じゃがそのものです。食材の見た目がしっかりと残っているため、食事を楽しむことにも繋がります。
おいしくミキサー 照焼チキン
噛まずに食べられるミキサー食です。嚥下機能が低下している方でも安心して食べられます。食材の風味を大切にしているので、しっかりとした味を感じられます。
エバースマイル 肉野菜炒め
食材をやわらかく加工したムース食です。見た目のいろどりや、食材の風味はそのまま残っているので、食事を楽しみながら味わうことができます。
レシピを活用して簡単に作ろう!手間をかけられない方は市販の介護食品もおすすめ
毎日献立を考えながら、介護食を作るのは大変な作業です。ご紹介した肉料理のレシピを活用し、ぜひ日々の献立に取り入れて、少しでも手間を減らしていきましょう。
また、日々の生活が忙しく、自分で調理するのが難しい場合は、市販の介護食を活用するのも重要な手段の一つです。味や見た目、食べやすさなどを追求した食品が販売されています。
介護食の通販専門店”ビースタイル”では介護食の肉料理を多数取り扱いしています。病院にも導入実績がありますので、安心して日常の食事に取り入れていただけます。ぜひお試しください。