ご家族の方が高齢になってくると、食事介助をする機会も増えてきています。しかし、いざ実際に介助をすると考えると、どうすればいいのかわからない方も多いでしょう。
今回は、ご高齢の方の食事の特徴や食事前の準備、食事介助の方法について解説しています。具体的な流れを理解し、食事を楽しんでもらえるような介助ができるように、ぜひ参考にしてください。
高齢者の食事の特徴
高齢者の食事の特徴を5つご紹介します。特徴を把握することで、適切な食事の介助を行うための準備ができます。
- 硬いものは苦手になる
- 乾燥しているものは食べづらくなる
- 濃い味付けが好きになる
- のどの渇きを感じにくくなる
- 胃もたれしやすくなる
これから食事の介助をしていく方は、しっかりと覚えておきましょう。
硬いものは苦手になる
加齢による影響で、噛む力や飲み込む力が弱くなります。硬いものが食べにくくなり、結果的にやわらかいものを好む傾向にあります。また、入れ歯を利用している方もいるため、噛みにくい硬めの食材や料理は苦手な方が多いです。
乾燥しているものは食べづらくなる
高齢者は加齢による影響で、唾液の分泌量やのど付近の筋力が低下していきます。そのため、パサパサと乾燥している食材や食べ物が飲み込みにくくなります。とろみをつけた料理や水気の多い食材の方が簡単に食べることができます。
濃い味付けが好きになる
味覚や嗅覚も、加齢により鈍くなっていきます。以前は問題なく食べることができた料理でも、味の薄さを感じたり、料理のにおいを感じなくなったりします。そのため、濃い目の味付けを求める可能性が高いです。また、味わいや風味を感じられなくなることで、食欲そのものが低下してしまうケースもあります。
のどの渇きを感じにくくなる
高齢になると、のどの渇きも感じにくくなってきます。高齢者の方が求める水分の量では、1日に必要な水分量に届かない場合も多いです。そのため、水分を摂取する量を確認し、小まめに水分を取ってもらったり、定期的に水分を取る時間を決めたりし、十分な水分量を摂取できるようにしていきましょう。
胃もたれしやすくなる
加齢による影響は内臓にも及びます。胃粘液の分泌量の減少や腸の機能の低下により、消化機能が衰えていきます。結果的に、胃もたれや便秘を引き起こし、食欲不振に繋がるケースも少なくありません。
高齢者が食事の介助を必要とする理由
食事をする能力の低下や認知能力の低下、身体機能の低下により、1人では食事をすることが難しいのが大きな要因です。自分の力だけでは、スムーズに食事ができなかったり、食事そのものに対する意欲がなくなったりします。そのため、食事をしっかりと食べるためには、他の方のサポートが必要になります。
サポートを受けることで、食事を上手に食べることができ、栄養も十分に補給可能です。
高齢者の食事介助を始める前の準備
高齢者の食事介助をする前に準備しておくべきことを5つご紹介します。
- 食事しやすい空間を作る
- 安全な姿勢になってもらう
- 排泄を行っておく
- 口の中や手を清潔にしておく
- 献立を紹介する
快適に食事を楽しんでもらうために、事前にしっかりと確認をしておきましょう。
食事しやすい空間を作る
食事に集中できる空間を意識しましょう。テレビがついていると、テレビに集中してしまい食事が疎かになる場合もあるため、あらかじめ消しておきます。しかし、部屋が無音の状態では、落ち着いて食事ができないという方もいるため、リラックスできる音楽をかけてあげるのもいいでしょう。
安全な姿勢になってもらう
肺炎の原因となる誤嚥を防ぐために、安心な姿勢を心がける必要があります。食べ物を飲み込んだ際に、気管に入ってしまわないように注意しましょう。自分で座る姿勢を保つことができるなら、基本的には椅子や車椅子に座ってもらい食事を行います。ベットで食事をするケースでも、しっかりと上体を起こし、腰やお腹に力を入れられるような姿勢を確保してください。
排泄を行っておく
食事の前に排泄を済ましておくことも重要です。途中でトイレにいきたくなった場合は、食事を一旦中断する必要があるので、食事に対する集中力が切れてしまいます。そのまま食事が進まなくなってしまう場合もあるので、トイレを済ませてから食事を始めるようにしましょう。
口の中や手を清潔にしておく
口や手に細菌が残っていると、食事をした際に、体内に細菌が入り込み病気に繋がるリスクがあります。リスクを避けるために、清潔な状態にしてから食事を開始しましょう。
とくに、嚥下機能が低下してる方は注意が必要です。口腔内の汚れが、誤嚥によって気管に入り込み、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性もあります。そのため、嚥下機能が低下している方には、事前に口腔清掃を行いましょう。
献立を紹介する
献立を紹介しながら食事を進めることで、食欲を刺激することができます。自発的に食べたいと感じてもらえるような食事の進め方が理想です。「この料理はこんな味がして美味しいですよ」などといった声かけも効果的です。
食事介助のやり方
食事介助を行うやり方を解説します。食事の前の準備が終わったら、手順通りに進めていきましょう。実際には、臨機応変に対応していく必要がありますが、基本的な流れはしっかりと掴んでおいてください。
1.安全な姿勢にしてからエプロンをかけます
食事をこぼして衣類が汚れないようにエプロンをかけてあげます。
2.介護者が隣に座ります
必ず横に座り、同じ目線で食事を行います。介助をされる方の目線が上がると、あごも上がってしまい、誤嚥の原因になります。
3.食事の前に水分補給をします
口の中に潤いがあると、スムーズに飲み込みやすいです。
4.水分の多いものから始める
水分の多い食べ物は、水分が少ない料理よりも食べやすいため、食事のウォーミングアップになります。また、胃酸の分泌を活性化させます。
5.主食・副食・水分を交互に食べさせる
料理の温度に気をつけながら、バランス良く食べてもらいます。その際には、一口の大きさや量に注意しましょう。スプーンに軽く一杯が適切な量です。あごが上がらないように、スプーンを下から提供し食べさせてください。あごが上がると誤嚥の原因になります。
6.食事を急かさないように注意して進めます
口に入れた食べ物をしっかりと飲み込めているかどうか確認をしながら進めていきます。急かして食べさせると、誤嚥やつまりを引き起こす可能性があるので注意してください。高齢者の食事のペースに合わせて食事を進めていくのが大切です。
7.食事終了後は摂取量を確認します
食事が完了したら、食べた量を確認しましょう。定期的な食事量のチェックは、健康状態を把握する上で大切な指標です。
8.口腔ケアをしリラックスできる状態にします
食後は歯磨きをして口腔内を清潔な状態にしてから休めるようにしましょう。しかし、食べたものの逆流を防ぐために、食後すぐに横になるのはやめてもらう必要があります。
食事介助を行う際の注意点
食事介助の際に気をつけたいポイントは2つあります。誤嚥をしないように気を配ること、無理やり食事を食べさせないことです。食べてもらう量やペースに配慮し、誤嚥に繋がらないように気をつけて食事を進めていきましょう。誤嚥は肺炎などの病気にも発展してしまうリスクがあるので、十分な注意が必要です。
また、無理に食事を進めることで、食事に対して嫌な気持ちをもってしまわないようにしてください。食事が嫌いになってしまうと、栄養が摂取できないだけでなく、気分的にも落ち込んでしまう可能性が高くなります。食事介助をする方の気持ちに寄り添いながら、食事を楽しめる環境を作ってあげてください。
日々の献立を助けるおすすめの介護食3選
日々の献立を考えるのは思っているよりも大変です。毎日の食事に活用できる市販でおすすめの介護食をご紹介します。忙しくて調理する時間が取りにくい方は、ぜひ利用してください。
【冷凍】あいーと 洋食セット(7個入) 介護食 やわらか食 ソフト食 術後食
噛む力が低下した方でも簡単に舌でつぶせる「あいーと」の人気セットです。見た目も普通の食事とほとんど変わらず、味わいや香りだけでなく、目でも食事を楽しむことができます。
舌でつぶせる介護食 ギフトセット
舌でつぶせる介護食がギフトセットになっています。プリンやゼリー、ハンバーグなど、全部で10種類入っています。どれも手間なく食べられるので、簡単に一品を追加可能です。
エバースマイル 洋風メニュー 7食セット
見た目のいろどりと風味を楽しめるムース食です。噛む力や飲み込む力が低下していても、舌でつぶせるやわらかさなので、食べやすくなっています。
適切な介助を行い食事を楽しんでもらうことが重要
適切な介助を行い、食事を楽しんでもらうことは重要です。そのためには、食事の前の準備から、実際の食事まで、食事をしやすいように進めていく必要があります。食事介助のやり方を理解し、前向きに食事に取り組んでもらえるように対応していきましょう。
また、食事介助だけでなく、日々の献立を考えるのも大変な作業です。市販の介護食を活用すれば、調理の手間を減らすことができます。
介護食の通販専門店”ビースタイル”では介護食を多数取り扱いしております。病院にも導入実績がありますので、安心して日常の食事に取り入れていただけます。ぜひお試しください。