嚥下食はどうやって作ればいいの、と疑問を感じている方に向けて、この記事では、嚥下食の特徴や役割、注意点や作り方を解説しています。嚥下食を作ったことがなくても、簡単なレシピもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
嚥下食とは
嚥下食とは、噛む力や飲み込む力が低下している方に向けて、食べやすいように加工した食事のことです。
ここでは、嚥下食の特徴や役割を解説します。嚥下食についての理解を深めることで、介護をする方に合わせた嚥下食を作れるようになります。
摂食・嚥下とは
摂食・嚥下は、食物を口に入れて取り込み、咀嚼してから飲み込むまでを表します。「摂食」は、食べること全般を表すことが多いです。「嚥下」は口の中の食べ物を飲み込んで、胃へ流すことを表します。
嚥下食の特徴や役割
嚥下食は食事を食べる方の状態に合わせて作ります。状態に合わせた嚥下食の特徴は3つあります。
<嚥下食の特徴>
- 一口で食べられる
- ミキサーにかけてある
- とろみ剤でとろみをつけている
通常の食事の状態では食べにくい方のために、食べる方の状態を考えて提供されます。
また、嚥下食の役割は3つあり、普通の食事では食べることが難しい方にとって重要な存在になっています。
<嚥下食の役割>
- 誤嚥を防ぐ
- 栄養が摂取できる
- 生活の質が向上する
嚥下食の大きな役割は、普通の食事では上手に噛んだり、飲み込んだりできない食品を食べやすく加工することで、誤嚥を防ぐ効果があることです。食べる能力が低下している方にとって誤嚥は大きなリスクになります。窒息や誤嚥性肺炎などの病気に繋がる恐れもあり、非常に危険です。嚥下食として加工することで、噛んだり、飲み込んだりするのがスムーズになり、安心して食事を楽しむことができます。
食事の能力の低下により普通の食事を食べられず、十分な栄養を摂取できないケースもでてきます。また食事を上手に食べることができなくなるため、次第に食欲も低下していく場合も多いです。そのため、基本的な栄養補給という点に関しても、嚥下食を活用する効果は大きいです。食べやすく飲み込みやすい嚥下食に加工することにより、食事をしっかりと取れるようになり、必要な栄養を摂取できるようになります。
また、嚥下食によって好きなものを食べられるようになることで、食事に対する楽しみも増えていきます。結果的に、生活にメリハリができ、生活の質も向上していく可能性が高いです。日々の食事を楽しむことは、栄養を摂取するといった目的だけでなく、人生においても重要な役割を果たしています。
嚥下食ピラミッドを活用する
嚥下食ピラミッドとは、普通食から嚥下食までを6段階のピラミッド構造に分け、各レベルの食べ物の物質的な条件を基準化したものです。レベルごとの食べ物が明確になり、咀嚼能力や嚥下機能に合わせて、どういった食事を選択したらいいのかを簡単に把握できます。
食事の種類 | レベル | 料理 |
嚥下訓練食 | 0 | ゼリー |
嚥下訓練食 | 1 | ねぎとろ |
嚥下訓練食 | 2 | ムース |
嚥下食 | 3 | 水ようかん |
介護食 | 4 | かぼちゃのやわらか煮 |
普通食 | 5 | 五目ひじき |
高齢者の食べる能力が低下してきた場合、レベル5の普通食からレベル4の介護食へといったように、段階的にレベルを下げていきます。また、病気などが原因で著しく食べる能力が低下してしまった方は、レベル0の嚥下訓練食からレベル1へと段階的にレベルを上げていきます。
このように、食事をする方のレベルに合わせて、嚥下食ピラミッドを活用することで、段階的なステップを踏んだ食事提供ができます。
嚥下食の注意点
嚥下食では、いくつか注意しておかなければならないポイントがあります。注意点を押さえておかないと、食べにくい食事になってしまったり、誤嚥などに繋がったりする恐れがあるので、注意していきましょう。
- 刻み食はリスクが高い
- 嚥下食に適した食品を使う
- 水分が多い食品はむせやすい
刻み食は、食材を細かく刻むことで食べやすくしていますが、食中毒や誤嚥などのリスクを抱えています。細かく食材を刻む際に、細菌が付着してしまう可能性があるからです。そのまま作り置きすると、細菌が繁殖し、食べてしまった場合には食中毒になる恐れがあります。
刻まれた食品は、嚥下能力が低下している方にとってのどの奥で詰まりやすいため、誤嚥の危険性もでてきます。嚥下食を作る際は、リスクを回避するために、刻み食は避けた方がいいでしょう。
嚥下食に適した食品を使用するのも大事なポイントです。硬いものやパサパサと乾燥したものは、噛みにくかったり、のどに張り付いたりするため、食べにくいです。好きなものでどうしても食べたい場合は、加工してなんとか食べやすい状態にして食べましょう。どうしても食べたいわけではない場合は、嚥下食に向かない食品を避けた方が調理の手間を減らせます。
また、水分量が多すぎる場合も注意が必要です。過度な汁気は、むせてしまう原因にもなるので、とろみ剤を使ってとろみをつけるなどの対策をしていきましょう。
嚥下食の作り方
嚥下食を作る際に押さえておきたいポイントは2つです。
- ミキサーやフードプロセッサーで攪拌する
- とろみ剤やゲル化剤(固形化調整食品)で食品にとろみなどをつける
基本的な味付けなどは普通食とほとんど変わりません。食べ物の形態を変化させるために、ペースト状にしたり、とろみをつけたりします。嚥下機能が低下した方でも食べやすいように、やわらかくまとまりのある料理を作りましょう。
嚥下食の簡単レシピ3選
簡単に作れる嚥下食を3品ご紹介します。毎日の献立を考えるのは大変なことです。ぜひ、日々の食事に活用してください。
鮭の照り焼き
普通の照り焼きのような形を再現できるので、見た目からも楽しめます。
<材料>
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<手順>
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嚥下食のロールキャベツ
材料を混ぜて煮て形を作るだけなので、とても簡単に作れます。
<材料>
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<手順>
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嚥下食のオムライス
<材料>
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<手順>
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スマイルケア食やユニバーサルデザインフードも活用しよう
介護食品の新しい基準として考案された「スマイルケア食」や、食べ物のたべやすさで分類されている「ユニバーサルデザインフード」は、一目見てどんな方に向けた食品かがわかるので、使いやすいです。どちらも介護食を選ぶ方が選びやすいように基準を設けているので、日々の献立に悩んでいる方は、ぜひ活用してください。
毎日の献立を助けるおすすめの嚥下食3選
日々の生活が忙しく、なかなか自分で調理する時間が取れない方に向けて、市販の嚥下食を3つご紹介します。手間なく簡単に使えますが、本格的な味わいを体験できます。
【冷凍】あいーと 晴れの日セット
噛む力が弱っていても簡単につぶせる「あいーと」の晴れの日セットです。見た目はほとんど普通の食事と変わらないので、目でも楽しめます。
舌でつぶせる介護食 ギフトセット
プリンや惣菜が簡単に食べられるやわらか嚥下食が10個セットになっています。ちょっと1品追加したいといった際に便利です。
やさしくラクケア とろとろ煮込み 中華うま煮風
ペースト状で噛まなくても食べられるので、咀嚼・嚥下能力が低下している方でも安心して食べられます。
嚥下食のポイントや注意点を押さえた上で嚥下食を作ろう
嚥下食は、ポイントや注意点をしっかりと押さえた上で作るのが大切です。せっかく作ったのに食べてもらえなかったり、誤嚥のリスクを招く可能性があるからです。本記事でご紹介した注意点を十分に理解し、嚥下食を提供していきましょう。
実際に作るのが難しいという場合は、市販の食品を活用することも重要です。手軽に食べられて、美味しくいただけるものがたくさんあるので、ぜひ利用していきましょう。
介護食の通販専門店”ビースタイル”では嚥下食を多数取り扱いしております。病院にも導入実績がありますので、安心して日常の食事に取り入れていただけます。ぜひお試しください。