腎臓病の方にとっては食事療法も大事になりますが、低たんぱく質の献立を考えるのに苦労するという方も多いでしょう。腎臓病食を提供する場合、献立の作成、食材の計量、調理といった手間が大きな負担になってきます。
腎臓病食の提供が負担に感じている方に向けて、この記事では、簡単にできる低たんぱく食の献立をご紹介しています。ぜひ、日々の献立に活用してください。
また、記事の後半では、低たんぱく弁当のメリットもお伝えしています。毎回手作りをするのは負担になるという方は、ぜひ低たんぱく弁当の利用も検討してください。
腎臓病とは
腎臓病とは、さまざまな影響で腎臓の機能が低下してしまっている状態のことです。腎臓病を大きくわけると「慢性腎不全」と「急性腎不全」があります。腎臓の機能は一度低下すると、回復することが難しいケースが多いです。急性腎不全の場合は、一時的な腎機能の低下である場合がありますが、慢性腎不全になってしまうと、長期的な腎臓病との付き合いになるケースがほとんどです。
しかし、近年では、治療法の選択肢も増えており、患者様の生活に合わせた治療を受けることも可能になってきています。
腎臓病の食事療法の特徴
腎臓病は腎臓の機能が低下している状態なので、生活において腎臓への負担を減らす必要があります。腎臓の働きとしては老廃物の排泄や体液の調整などさまざまな機能があるので、負担になる要因は多いです。
具体的には、たんぱく質の摂取を減らすことが重要です。たんぱく質を分解する際にでる老廃物の処理が、腎臓へ大きな負担をかけてしまいます。こういった腎臓への負担を減らしていくような暮らしをしていくことが大切です。
また、腎臓では老廃物の処理だけでなく、カリウムやリンの調節も行われています。腎機能が低下すると、カリウムやリンの調節もできなくなるため、体内の濃度が高まり、さまざまな弊害を引き起こします。腎臓病と診断された場合には、たんぱく質だけでなく、カリウムやリンの摂取にも気を配ることが必要です。
低たんぱく食とは
たんぱく質の摂取制限を受けている方のために開発された、たんぱく質を調整し抑えた食品のことです。たんぱく質以外にも塩分やリンなども調整されているものがあり、食事の質を落とさず、普通食に近いレベルの食事ができるようになります。
普通の食事では、想像以上に栄養素が摂取できてしまいます。低たんぱく食品を活用することにより、食事の質を落とさずに、生活していくことが可能です。
簡単に作れる低たんぱく食の献立10選
減塩・低たんぱくミートソース
でんぷんパスタや減塩の調味料を使用することで、たんぱく質や塩分を調整しています。
<材料>
- でんぷん生パスタ:1袋
- オリーブオイル:少々
- 油:適量
- にんにくみじん切り:1片
- 玉ねぎみじん切り:25g
- 牛豚合い挽き肉:40g
- トマト 角切り:50g
- 減塩だし:1袋
- ヒカリトマトケチャップ:20g
- カゴメウスターソース:5g
- SBカレー粉:1g
<手順>
- 鍋にお湯を沸かし、麺を3分間茹でる。
- 火を止めてから1分間蒸らす。
- 麺をザルにあげて流水で水洗いする。
- キッチンペーパーで麺の水分を拭き取る。
- 麺にオリーブオイルをかける。
- フライパンに油とにんにくを入れて加熱する。
- 合い挽き肉を加えて炒める。
- 肉に火が通ったらトマトを加える。
- 減塩だしを入れて味付けする。
- トマトケチャップ・ウスターソース・カレー粉を加える。
- 茹でた麺を加え、加熱しながら混ぜ合わせる。
- 皿に盛り付けたら完成です。
減塩・低たんぱくちらし寿司
いろどりも鮮やかな減塩・低たんぱく質のちらし寿司です。
<材料>
- 油:少々
- 溶き卵:25g
- 人参細切り:25g
- しいたけか干ししいたけ:1枚
- ちくわ薄切り:半分
- 砂糖:5g
- 低塩だしわりつゆの素:12g
- 水:50ml
- 絹さや:1枚
- 酢:5g
- 砂糖:5g
- 塩:0.5g
- 低たんぱくご飯:150g
- きざみのり:適量
<手順>
- 卵焼き器に油を入れ、薄焼き卵をつくり、錦糸卵にする。
- 人参・しいたけ・ちくわ・砂糖・つゆの素・水を鍋に入れ、汁気がなくなるまで煮込む。
- 絹さやをさっと茹で、千切りにする。
- 酢・砂糖・塩を混ぜて寿司酢を作る。
- ボウルに温かいご飯を入れ寿司酢をかけ混ぜる。
- 煮込んだ具を入れてさらに混ぜる。
- 皿に移し、錦糸卵・絹さや・きざみのりをのせたら完成です。
低たんぱくマカロニグラタン
低たんぱく質・低リン乳を使用することで、栄養を抑えながらカロリーを摂取でき、さらにおいしくお召し上がりいただけます。
<材料>
- タンパク調整マカロニ:40g
- 玉ねぎ:30g
- えび:10g
- いか:10g
- 低リン牛乳:50g
- 無縁バター:5g
- 低タンパク小麦粉:5g
- 減塩チキンコンソメ:1g
- お湯:100ml
- マヨネーズ:15g
- 胡椒:適宜
<手順>
- 沸騰したお湯でマカロニを茹でる。
- 材料を計量する。
- コンソメをお湯に溶かす。
- 玉ねぎは薄切りにし、お好みでシーフードもカットする。
- フライパンにバターを溶かし、玉ねぎを炒める。
- 玉ねぎが透明になったらシーフードを入れて炒める
- さらに小麦粉を振り入れ炒めていく。
- 牛乳とコンソメスープを入れて、とろみがつくまでかき混ぜ、胡椒で味を整える。
- オーブンを予熱しておく。
- グラタン皿にマカロニを盛りつけ、作ったソースを流し込み、仕上げにマヨネーズをかける。
- 予熱ありの220℃で12分焼き、焼き上がったら完成です。
減塩・低たんぱく豆苗の豚肉巻き
さっと作れておいしい一品です。豚ロースを使用することでたんぱく質を抑えます。
<材料>
- 豆苗:1袋
- 豚ロース:200g
- にんにく:適量
- ごま油:適量
- 酒:大さじ1
<手順>
- 豆苗をさっとゆがき、カリウムを除去する。
- 豆苗を豚肉で巻く。
- フライパンにごま油・にんにくを入れ、香りを出す。
- 豚肉の巻き終わりを下にして並べ、両面を焼く。
- お酒を入れ、フタをし蒸し焼きにしたら完成です。
減塩・低たんぱく冷やし中華胡麻だれ
さっぱりと暑い季節にぴったりの冷やし中華です。工程も少ないので、手間なく簡単に作れます。
<材料>
- でんぷん生ラーメン:1袋
- 油:少々
- 豚ロースしゃぶしゃぶ用:30g
- 塩:0.3g
- こしょう:少々
- きゅうり細切り:30g
- ミニトマト:30g
- 練りごま白:10g
- 砂糖:7g
- 低塩低リンだしわりしょうゆ:20g
- 牛乳:10g
- ごま油:5g
<手順>
- フライパンに油をしき、豚肉を焼いて、塩こしょうで味付けする。
- 練りごま・砂糖・だしわりしょうゆ・牛乳・ごま油を混ぜながら、胡麻だれを作る。
- 鍋にお湯を沸かし、沸騰したら麺を入れる。
- 3分茹で、1分ほど蒸らす。
- 麺をザルにあげて、流水で水洗いする。
- キッチンペーパーで麺の水分を切る。
- 皿に麺・ミニトマト・きゅうりを盛り付け、胡麻だれをかけたら完成です。
減塩・低たんぱくガーリック炒飯
低たんぱくご飯と塩分カットのコンソメを利用することで摂取量を抑えています。レモンを添えることで、さっぱりとお召し上がりいただけます。
<材料>
- きんぴら:30g
- プチ越後ごはん1/12.5:1パック
- 鶏モモ肉:35g
- バター:2g
- 塩分77%カットコンソメ:1g
- 塩:0.2g
- こしょう:少々
- ガーリックパウダー:適量
- レタス:5g
- レモン:1/8個
<手順>
- 越後ごはんの1パックを温め、軽く水で洗い、しっかり水気を切る。
- レモンを1/8個にくし形に切る。
- レタスは食べやすい大きさにちぎり水にさらす。
- フライパンにバターを溶かし、1cm角にカットした鶏モモ肉を炒める。
- 鶏モモ肉に火が通ったら、ごはん・きんぴらを加える。
- コンソメ・塩・こしょう・ガーリックパウダーで味を整える。
- 器に炒飯を盛り付け、レタスとレモンを添えたら完成です。
低たんぱくのナポリタン
低タンパク食品を活用した本格的なナポリタンです。
<材料>
- 人参:20g
- ピーマン:20g
- 玉ねぎ:40g
- ベーコン:20g
- オリーブ油:6g
- にんにく:4g
- ヘルシートマトケチャップ:50g
- 鷹の爪:1g
- 減塩チキンコンソメ:2g
- 減塩できるウレシオ:0.6g
- アプロテンタンパク調整スパゲッティ:200g
<手順>
- 材料は千切りにする
- 鍋にオリーブ油・ニンニク・鷹の爪を入れて炒める。
- 香りがでてきたら、野菜・ベーコンを加えて弱火でじっくり炒める。
- 玉ねぎが透明になったら、水・ケチャップ・塩・コンソメを入れて10分程度煮込む。
- スパゲッティは沸騰したお湯で10分間茹でる。
- 茹でたスパゲティとソースをからめ、お好みでこしょうをかけたら完成です。
低たんぱく照り焼きチキンピザ
フライパンでできる照り焼きチキンピザです。減塩でもおいしく食べれる一品になっています。
<材料>
- 低たんぱくパンミックス粉:60g
- オリーブオイル:小さじ1と1/2
- ぬるま湯:45g
- 鶏もも肉:30g
- キッコーマンからだ想いだしわり醤油:小さじ1と½
- 砂糖:小さじ1
- みりん:小さじ1/2
- オリーブオイル:小さじ1/2
- 玉ねぎ:30g
- ホールコーン:10g
- マヨネーズ:10g
- 焼きのり:1/10枚
<手順>
- 玉葱を3分茹でる。
- フライパンを温め、オリーブオイルをしき、薄く切った鶏もも肉を焼く。
- しょうゆ・砂糖・みりん・ホールコーンを加えて煮詰める。
- ボウルにミックス粉・オリーブオイル・ぬるま湯を入れてダマがなくなるまで混ぜる。
- フライパンを温め、生地を流し平らに伸ばす。
- 中火で表面がプツプツなり始めたら、裏返す。
- 裏返した生地に具材をトッピングし、マヨネーズをかけてフタをする。
- ピザ生地の表面に、焼き目が付いたらフタを取り、刻んだ焼きのりをのせたら完成です。
低たんぱくマフィン
たんぱく質を抑えつつエネルギーはしっかりと摂取できます。おやつにもぴったりの一品です。
<材料>
- 砂糖:70g
- 低たんぱくパンミックス粉:60g
- 片栗粉:50g
- 卵(全卵):30g
- 牛乳:30g
- バター:30g
- サラダ油:30g
- 水:25g
- ベーキングパウダー:3g
<手順>
- ボウルにバター・砂糖を入れて白っぽくなるまで混ぜる。
- 卵とサラダ油を加えさらに混ぜる。
- ミックス粉・片栗粉・ベーキングパウダーを混ぜてふるい、卵を混ぜたものに牛乳と半分ずつ交互に加え混ぜる。(出来上がった生地はなめらかになる)
- 型に流し、170℃のオーブンで25〜30分間焼いたら完成です。
減塩・低たんぱくコンソメスープ
減塩コンソメを使用することで塩分控えめのコンソメスープになっています。
<材料>
- 水:200ml
- 人参:1/5本
- 玉ねぎ:1/5個
- 減塩コンソメ:1/3個
- 椎茸:2個
<手順>
- 材料を1口大の大きさに切る。
- 鍋に水・コンソメを入れて沸騰させる。
- コンソメが溶けたら野菜を入れて一煮立ちさせる。
- 野菜に火が通るまで煮込む。
- 器に入れて完成です。
低たんぱく食でお弁当作り
低たんぱく食を活用したお弁当の特徴や注意点を解説します。腎臓病食の献立作成や調理は大変です。いかに手間を減らして対応できるかを考えていきましょう。
お弁当の特徴
低たんぱく食を活用したお弁当の特徴は2つあります。
- 摂取制限内で作れる
- 市販の食品を使うことで手間を減らせる
低たんぱく食をお弁当にも利用することで、摂取制限のある栄養素を制限内で摂ることが可能です。普通の料理ばかりでは制限をオーバーしてしまいます。そのため、低たんぱく食をお弁当に活用することはとても効果的です。
また、市販の低たんぱく食は手軽に使えるものも多いので、調理の負担を減らしてくれるのも大きなメリットです。
お弁当作りの注意点
低たんぱく食を作る際の注意点を3つご紹介します。ポイントを押さえることで、無理なくお弁当を作ることができます。
- 分量をしっかりと計量する
- 栄養バランスに気を配る
- 生活に支障がでるような無理はしない
腎臓機能が低下しているときは、腎臓への負担を減らすことが大切です。そのため、食事から摂取する栄養のバランスや量には注意しなければなりません。食材の計量や献立作成には、十分に配慮する必要があります。
しかし、仕事や家事、育児といった日々やるべきことは多いです。その中で、腎臓病食についても頭を悩まさなければならない状況は、とても負担が大きいです。生活に支障が出てしまわないように気をつけましょう。どうしても手が回らない場合は、市販の低たんぱく弁当を活用するのもおすすめです。
手間を減らしたい方は市販の低たんぱく弁当もおすすめ
市販の低たんぱく弁当は数多く販売されています。各メーカーや企業の管理栄養士が献立を考え、腎臓病患者の状態に合わせたお弁当を提供しています。費用はかかりますが、栄養バランスに配慮された低たんぱく弁当は、日々の生活を忙しく暮らす方にとって重要な存在です。
市販の低たんぱく弁当を活用して献立作成の負担を減らしていこう
低たんぱく食の献立作成や毎日の調理は大変です。ご紹介した低たんぱく食のレシピや、市販の食品を活用し、毎日の負担を減らすことは重要な課題です。どうしても手が回らない場合や、手間を減らしたいときは、低たんぱく弁当をぜひ活用してください。
腎臓病食の通販専門店”ビースタイル”では低たんぱく食品や、解凍するだけですぐに食べられる低たんぱく弁当を多数取り扱いしております。病院にも導入実績がありますので、安心して日常の食事に取り入れていただけます。ぜひお試しください。