いつも何気なく食べている味噌汁やスープ。介護食にもきちんと適しているのかどうか、気になりますよね。
一見食べやすそうですが、実はスープ類や飲み物といった水分が多いものは、嚥下する力が弱まっていると食べにくいことがあるのです。
今回の記事では、普段作っている味噌汁やスープを、ほんの少し工夫するだけで介護食にするレシピやコツなどについて解説します。
また、様々なメーカーが販売している味噌汁やスープなどの市販品も紹介しているので、ぜひ活用してみて下さいね。
介護食の味噌汁やスープ とろみをつけるのはどうして?
味噌汁やスープは汁がたくさんあり、わざわざとろみをつけなくても飲み込みやすいように思えますよね。
ですが、噛む力や飲み込む力が弱まっていると、水分の多い食べ物は食べづらくなります。
食べることに関して問題がない場合、もしも食べ物が気管に入ってしまう誤嚥が起きても、少し咳き込めばすぐに治ります。
ですが、嚥下機能が弱っている場合は自分の力で吐き出せないため、それが原因で誤嚥性肺炎を引き起こすケースがあります。そして、それが続くうちに、次第に食事そのものをストレスに感じるようになってしまいます。
それを防ぐために、食べ物にとろみをつけて、喉に送るスピードを遅らせるのです。
介護食の味噌汁やスープにとろみをつける方法
食べ物や飲み物にとろみをつける方法は、主に2つあります。
1つは、とろみ剤(とろみ調整食品)を用いて、食べ物や飲み物にとろみをつける方法です。
もう1つは、食材でつける方法です。片栗粉、ゼラチン、マヨネーズなどを使うのが一般的です。
どちらの方法でとろみをつけるにしろ、一番大切なのは「その人の嚥下(飲み込み)の状態に合わせること」です。状態に合っていないとろみをつけても、誤嚥は阻止できません。
とろみは、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下分類で3段階に分けられています。
薄いとろみ…ポタージュスープのようなとろみ。とろみをつけていることがほとんど気にならず、ストローで簡単に吸える。
中間のとろみ…とんかつソースのように、スプーンを傾けるととろりと流れる。
濃いとろみ…ケチャップに似たドロッとしたとろみで、スプーンを傾けても流れない。主に重度の嚥下障害の方に用いる。
嚥下の状態は、病院で検査できます。
その際に、医師や管理栄養士などから、適したとろみのつけ方についてもアドバイスを受けるとよいでしょう。
参考:日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021
介護食の味噌汁やスープ おすすめのメニューは?
介護食におすすめの味噌汁やスープのメニューと、調理のコツを紹介します。
味噌汁やスープの介護食レシピ(1)豆腐入りの味噌汁
豆腐は、健康を維持するためのたんぱく質が豊富に含まれています。また、大豆に含まれるイソフラボンには骨粗しょう症を予防する効果があると言われているので、特に高齢者の方の食事に加えたい食材です。
豆腐には様々な種類がありますが、介護食として食べやすくておすすめなのは、絹ごし豆腐とソフト木綿豆腐です。
介護食におすすめの豆腐入りの味噌汁 レシピのコツは?
ご自分で噛めるようであれば、具材の野菜を細かく切って、とろみをつけた味噌汁やスープがおすすめです。
最初に野菜を5mmほどの大きさに切り、水を加えて軟らかくなるまで煮ます。次に、火を止めてだし入り味噌を入れ、最後にとろみ剤(とろみ調整食品)を加えて混ぜます。
噛むのが難しい場合は、ミキサーを活用し、なめらかになるまで攪拌しましょう。
ミキサーがあると、ペースト食やミキサー食などの介護食作りがぐんと楽になるので、1台買っておいてもよいでしょう。
豆腐入りの味噌汁を作る場合は、豆腐や味噌、だし汁、片栗粉などの材料をすべてミキサーに入れてなめらかにします。その後、鍋で温めながらひと煮立ちさせたら完成です。
味噌汁やスープの介護食レシピ(1)根菜類のスープ
洋風メニューの日には、スープも欲しくなるものです。根菜類は栄養価が高いので、ぜひ介護食に加えましょう。
野菜の切り方や煮方を少し変えるだけで、簡単に介護食にできます。
介護食におすすめの根菜類のスープ レシピのコツは?
根菜類は、普通のスープと同じように調理すると固くて飲み込みにくいので、約5mmほどに切ったり、千切りにしてから、軟らかく煮ましょう。ミキサーを使うとより手軽になめらかになるので、おすすめです。
飲み込む力が弱い場合は、最後にとろみ剤(とろみ調整食品)を加えると、さらに食べやすくなります。
味噌汁やスープの介護食レシピ(3)春雨スープ
春雨は、緑豆のでんぷんを原料にしているため、炭水化物やマグネシウム、カルシウム、カリウムなどが豊富で、腹持ちのよい食材です。
ですが、意外にカロリーは高いので、春雨を中心にするよりは、スープやサラダに加えるレシピのほうがおすすめです。
介護食におすすめの春雨スープ レシピのコツは?
春雨、にんじん、ほうれん草を具材にした中華春雨スープは、簡単にできておすすめです。
介護食としても食べられるスープにするコツは、野菜を軟らかく煮ることと、春雨は2cmほどの長さに切ることの2つです。
野菜は、指で押すと潰れる程度まで煮ましょう。
春雨は和洋中どのスープにも合うので、ぜひいろいろ試してみて下さい。
市販の介護食には味噌汁・スープも充実!
市販の介護食は、味噌汁やスープのラインナップがとても充実しています。常温でも美味しい商品が多いので、ぜひ活用しましょう。
栄養支援 スープの詰め合わせ 200ml×30袋(6種×各5袋)
「栄養支援 スープの詰め合わせ」は、高栄養スープを6種類詰め合わせたセットです。天然食品を中心に、三大栄養素と食物繊維がバランスよく配合されています。
かぼちゃやじゃがいも、とうもろこしなど、野菜をベースにした味が1種類ずつ入っているので、飽きが来ず、おすすめです。
大豆スープ 味噌風味 100ml×18本
「大豆スープ」は、1本(100ml)で200kcalを摂取できるスープです。調理にも使える鶏だしの風味ですが、常温でも十分美味しく飲めます。
【購入者様の声】
このタイプの流動食は、味はいまいちと云うのが多いです。でも、これはいけます。次回もリピートする予定です。
アイソカル100 ポテトスープ味 100ml×12
「アイソカル100」は、1個(100ml)で200kcalを手軽に摂取できるコンパクト栄養食です。
同シリーズには、他にもコーヒー味、バナナ味、カフェモカ味など、合計7種類あります。ネスレ日本が作っているだけあり、美味しくカロリーアップできるおすすめの商品です。
【購入者様の声】
病気療養中の父は介護度が高くミキサー食のため、療養先で出る食事では摂取カロリーや栄養が不足しているので、面会出来る時に持ち込んで補助的に摂せるため購入しています。
同じような商品は甘いものが多く飽きてしまいがちの中、塩味があるので本人は気に入っているようです。
まとめ:味噌汁やスープの介護食 ミキサーの活用が◎
味噌汁やスープを介護食として作る場合は、ミキサーを使ってなめらかにする方法がおすすめです。ミキサーで具材を攪拌している間、手が空くので、とても便利です。
その後、ご家族の嚥下の状態に合わせてとろみ剤(とろみ調整食品)を加えて下さい。
とろみ剤は簡単にとろみをつけられて便利ですが、嚥下の状態に合っていないものは、むしろ危険です。
とろみの加減は3段階あるので、まずは病院で検査しましょう。その際、管理栄養士などに適した食材や、とろみのつけ方を聞いておくのもおすすめです。
また、様々なメーカーが高栄養スープやコンパクト栄養食を販売しているので、それらもぜひ活用してみて下さい。甘くないスープ味はどんな料理にも合います。
介護食用の食事は、これまでと同じメニューにほんの少し手を加えるだけでできるものがたくさんあります。特に味噌汁やスープは介護食にぴったりなものが多いので、ぜひ様々なメニューを試してみて下さいね。
介護食の通販専門店”ビースタイル”では噛まなくてよいペースト食やスープなどの介護食を多数取り扱いしております。病院にも導入実績がありますので、安心して日常の食事に取り入れていただけます。ぜひお試しください。