これから暑くなる季節、特に高齢者が予防したいのが夏バテです。
夏バテは脱水による熱中症や、長期的に食事の摂取量が少なくなることで低栄養になるリスクがあり、とても危険です。
今回は夏バテとはどのようなものか?どんな危険があるのか?を踏まえた上で、夏バテにならないための工夫やレシピをご紹介していきます。
夏は特に夏バテによる食欲不振が多い!
近年の夏は猛暑が続き、若い方でも毎年夏バテになってしまうという方も多いのではないでしょうか?
高い気温の中、いつも通りに食事を摂っていくのはなかなか難しいですよね。
だからといって飲む量、食べる量が減ってしまうと身体はどんどん弱っていってしまいます。
高齢だと特に高リスク
高齢者では加齢にともない代謝が落ちる、活動量が減る、食べる量が減るなどから筋肉量はどんどん減っていく傾向にあります。夏バテになって、食事の量が更に減ってしまうと、体力や筋肉量が急激に落ちてしまい、とても高リスクなのです。
夏バテを放っておくとどうなる?
「夏バテって短期的にいつもより少し水分や食事が摂れないだけじゃないの?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
高齢者は特に夏バテをきっかけに身体のいろんな機能が弱ってしまう恐れもあります。上述のように、数日飲めていない、食べれていないという状況はとっても危険なサインなのです!
①脱水
まず、水分が摂れないことによって脱水を引き起こします。
水分の詳細は後程にも書きますが、高齢者というだけで脱水になるリスクがとても高いのです。また、身体の水分は水と塩分(ナトリウム)とのバランスで出来ているので、水だけを摂っていても適度な塩分が摂れていなかったら水と塩分のバランスが保てなくなってしまい、結果的に脱水を招いてしまいます。
②低栄養~フレイル
フレイル(加齢による虚弱)とは要介護状態に入る前の段階の位置づけであり、体の弱り、心身の弱り、社会的弱りなど多くの面で問題を抱えやすいです。
例えば、水分や食事が摂れないことで筋力が低下し、体重が減少します。サルコぺニア(筋力が無くなること)で身体機能は衰え、歩行が出来なくなってしまい、活動が減ってしまいます。活動量が減ることでますます食欲は無くなり、飲み込む筋肉さえも衰えてしまう、負のサイクルに陥ってしまうのです。
(例:食事が摂れない→筋力低下→体重減少→身体機能の低下→疲れやすい→動きたくなくなる→動かない→お腹がすかない→食べないというサイクル)
高齢になると脱水や低栄養になりやすい理由
①味覚の低下
高齢になると味を感じにくくなる傾向にあります。
味覚は基本的に塩味、甘味、苦み、うま味、酸味の5つからなりますが、高齢になると特に塩味や甘味を感じにくくなると言われています。
これは味覚を感じる細胞が減ってしまうことや唾液の分泌が減少することが原因であり、その他にも基礎疾患によるものやお薬の副作用であることもあります。
味覚を感じにくくなったからと言って、塩分をどんどん足してしまっては高血圧を招いて様々な生活習慣病にかかってしまう恐れもあります。だからと言って味気のない食事を無理やり食べ続けていると今度は食欲不振を招いて食べなくなってしまうこともあります。
食べる方の訴えも聞きながら細やかに食事調整をしてあげることが必要です。
②体水分量の減少
通常、人間の身体に含まれる水分は生まれたばかりの赤ちゃんで80%、成人で60%と言われており、加齢に伴って減少傾向にあります。
高齢者になると50%にまで体内の水分は減少すると言われており、体内水分量が少ないことから脱水に陥りやすいのです。
さらに、腎臓では尿を濃くしたり、薄くしたりすることで体内水分量を調節しているのですが、この腎臓も加齢に伴って機能は衰えてくるので水分調節機能も低くなってしまいます。
③喉が渇きにくい
高齢者では加齢に伴う感覚器官の衰えから、脱水になっていても喉が渇きにくく脱水に気が付かない場合があります。喉が渇いていなくても、こまめに水分摂取を行っていないと喉が渇いた時には「既に脱水だった!」といったことも珍しくありません。
④筋肉量の減少
高齢になると加齢とともに一般的には筋肉量が減り、代謝が落ちると言われています。
そして食べる量や活動量は若い人よりも少なくなり、筋肉量は減りやすい傾向です。
若い人であれば痩せてしまっても代謝が良いのでたくさん食べたり、筋トレしたりすることで筋肉を取り戻しやすいのですが、高齢者は一度落としてしまった筋肉を再度取り戻すのはかなり難しいことなのです。
介護食の夏バテレシピ
①食事編
【一口サイズでぱくぱく 漬物のてまり寿司】
夏バテで食欲が無い時はご飯を冷たくして酢飯にすることで食べやすくなります。
また、一度にたくさんの量があると見ためだけで食べるのが辛くなってしまうので小さめに作るのがコツです。塩分のある漬物も合わせることでさっぱり食べられる上に彩りも綺麗に仕上がりますよ!
温かいご飯:100g
すし酢:小さじ1杯
漬物:各5g(みょうが、なす、柴漬け、野沢菜など)
焼き海苔:適量
貝割れ菜:適量
(作り方)
①ご飯にすし酢を混ぜて冷ます
②みょうがとなすは半分に切る
③柴漬けと野沢菜は細かく刻む
④みょうがとなすはすし飯の上に乗せて焼き海苔で巻く
⑤柴漬けと野沢菜はそれぞれすし飯に混ぜ込み丸く握る
⑥貝割れ菜を乗せる
②デザート編
牛乳や生クリームをしっかり使って栄養も摂りつつ、さっぱりと食べられる杏仁風味にしました。お好みで果物を添えると美味しくビタミンミネラル強化にもなります!
杏仁:25g
牛乳:100cc
グラニュー糖:40g
アマレット:小さじ½
生クリーム:40cc
お好みで:みかん、桃、パインの缶詰などお好きなフルーツ
(作り方)
①杏仁は牛乳に浸して一晩漬けておく
②①を鍋に移してグラニュー糖を加えたら火にかけて良く混ぜる
③弱火で10分間ほどふつふつ煮る
④加熱後は火から下ろし、粗熱を取る
⑤④をミキサーにかけて冷ます
⑥アマレットと6分立てにした生クリームを加えて混ぜる
※フルーツを加える場合はここで混ぜ込む
⑦器に入れて冷凍庫で冷やし固めたら完成
③水分編
【スポーツドリンクゼリー】
水やお茶だけでは体の中の塩分が不足することによるナトリウム欠乏性脱水に陥る恐れがあります。水分に加えてナトリウムやカリウムなどのミネラルも同時に補うようにしましょう。ただし、糖尿病、高血圧、腎臓病などの基礎疾患がある場合には当分や塩分の摂りすぎになる恐れがあるので主治医や管理栄養士に相談するようにしましょう。
スポーツドリンク:100cc
ゼラチン:3g
水:大さじ1
(作り方)
①ゼラチンは大さじ1の水でふやかしておく
②スポーツドリンクは鍋に入れて火にかけて温める
③②に①を加えて溶けるまで良く混ぜる
④器に入れて冷やし固めたら完成
まとめ
今回は高齢者の夏バテによる影響、夏バテを防ぐための工夫をお伝えしました。
高齢者は一度に沢山の水分や栄養を摂ることは難しいので1日の中でこまめに摂れるように工夫することがポイントです。高齢者自身ではなかなか脱水に気づくことは難しいので周りの人たちが声をかけて水分は栄養摂取を促してあげましょう。
とはいっても、なかなか毎日介護用の水分や食事を作るのは難しいという方も多いはず。
そんな時は市販の介護食品を利用してみるのはいかがでしょうか?
賞味期限も長く、保存方法も楽なのでいざというときにストックしておくのもおすすめですよ。
冷やして開封するだけのものや、パウダータイプを水に溶かして使用するものなど様々なので用途に応じて利用してみてください。