腎臓病の食事療法でポイントになる「カリウム」と「リン」は、慢性腎臓病の初期~ステージ3aまではそれほど制限されないことが多く、3bから必要になることが一般的です。
腎臓の状態
ですが、カリウムとリンは意外な食品や食材にも含まれており、材料名を見てもわかりづらい場合があります。「気をつけていたのに、知らない間に摂取していた」ということが起きやすい栄養素なのです。
それらを防ぐには、やはり「知る」ことが一番の近道です。
今回の記事では、カリウムとリンを控えるための方法について解説します。
最初に食品・食材について、これらを多く含むもの、あまり含まれないものを紹介します。記事後半にはご自宅で簡単にカリウムやリンを減らせるコツもあるので、参考にしてみて下さい。
近年は、カリウムやリンを大幅にカットした市販品も数多く販売されています。他の栄養素にも配慮してあり、安心して毎日の食卓で使えるものを紹介しているので、ぜひ試してみて下さいね。
腎臓病の食事療法 カリウムとリンが多い食材は?
カリウムとリンは、腎臓病の食事療法で摂取するを控える栄養素です。多く含まれる食品について最初にチェックしておきましょう。
カリウムは野菜・果物に注意
カリウムは野菜類と果物類にとても多く含まれます。特に、ほうれん草や小松菜、ブロッコリーなどの緑黄色野菜、アボカド、バナナ、メロンなどの果物類にたくさん含まれるので、量には注意しましょう。
それ以外にも、乳製品、納豆や枝豆などの豆類、果物や野菜のジュースも豊富なので、注意が必要です。
芋類の場合は、芋類を加工したおやつなどの食品にも多いため、気づかない間にたくさん摂らないように気をつけて下さい。
リンは加工食品・乳製品・添加物に注意
リンは、肉や魚、卵、豆類、乳製品など、たんぱく質の多い食品に多く含まれます。そのため、たんぱく質を摂る際にはできるだけリンの少ない食材を選びましょう。
また、食品添加物も非常に多いので、ハムやベーコン、練り物、カップラーメン、ファストフードなどの加工食品は量に注意して下さい。
低カリウム・低リンの食品や食材を知ろう
続いて、低カリウム・低リンの食品や食材を見ていきましょう。毎日の料理に取り入れることで、簡単に抑えられるようになります。
低カリウムの食品・食材
低カリウムの食材や食品として挙げられるのは、うどん、緑豆春雨、しらたき、はちみつなどです。
ですが、低カリウムの食材はそれほど多くありません。そのため、カリウムの豊富な食材を調理する際はご自宅で減らしましょう。
低リンの食品・食材
リンは、たんぱく質に多く含まれています。そのため、きのこ類や海藻類といった低たんぱくの食材はリンが少なめです。
肉や魚など、たんぱく質が多い食材を使う場合は、脂身の多い部位を使うことでリンの量は抑えられます。
鶏の手羽・ひき肉、豚もも肉、卵白、ブリなどは、良質なたんぱく質を含むわりにリンが少なく、おすすめです。
自宅で簡単!カリウムとリンを減らす方法
ご自宅で簡単にカリウムとリンを減らせる2種類の方法について紹介します。
カリウムとリンを減らす(1)おやつを選ぶ
カリウムの摂取量をコントロールするには、おやつとして食べている生の果物やジュースなどを見直しましょう。
果物類はどれもカリウムが豊富なため、少量でも摂ってしまう場合があります。大好物という方は、生の果物ではなく缶詰にし、汁を残すようにして下さい。それだけで含有量を50%近く減らせます。
リンを控えるには、小魚のおやつの量を見直すことがおすすめです。リンは魚の骨に多く含まれているため、骨ごと食べる小魚は量や回数に気をつけましょう。ししゃも、しらす、あゆ、はも、鮭、うなぎなどは注意が必要です。
それ以外にも、インスタントラーメンやソーセージなどの加工食品のおやつは塩分が多いため、できるだけ減らしましょう。
カリウムとリンを減らす(2)ゆでこぼす・水にさらす
カリウムは水に溶けやすいため、ゆでこぼしたり、水にさらすことで減らせます。できるだけ断面が大きくなるようにカットすると、そこからカリウムが溶け出し、より効果的です。
レタスやキャベツなどの葉野菜の場合は、できるだけ細く切るようにしましょう。その後、ボウルに入れて30分ほど置きます。使う前にはよく水気を絞って下さい。
ちなみに、かぼちゃやとうもろこしはゆでてもあまりカリウムが減りません。食べる量には注意して下さい。
リンを多く含む食品添加物は、お湯に通すとすぐに溶け出します。調理前に一度ゆでこぼしましょう。
また、インスタントラーメンの場合、麺をゆでたお湯にも非常に多くのリンが溶け出しています。使わずに捨て、スープは新しいお湯で作るようにしましょう。
カリウムとリンを減らす(3)「食べない」はNG
時々、カリウムやリンの摂取量を抑えようとして食事量そのものを減らす方がいます。そうなると筋肉量が落ちたり低栄養状態に陥ったりし、健康を維持できなくなってしまいます。
ご自分の判断で極端な食事制限を行うと、大切な栄養素まで不足してしまう場合があります。食事療法は、必ず主治医や管理栄養士と相談しながら行いましょう。
市販品で簡単にできる低カリウム・低リン!おすすめ3選
市販品には、低カリウムや低リンに調整してある食品が数多く販売されています。特に調味料や飲料などは取り入れやすいので、ぜひ試してみて下さい。
からだ想い だしわりぽんず 250ml
塩分が少ないポン酢は、腎臓病食におすすめの調味料のひとつです。
この「だしわりぽんず」は、キッコーマンの「ぽんずしょうゆ」に比べて、食塩・リン35%以上、カリウムを80%以上カットしてあり、さらに安心してお使いいただけます。
酸味とゆずの風味が豊かなので、ドレッシングとしてもお使いいただけます。
【購入者様の声】
他の腎臓病の方のブログに「こればっかり使ってます」と高評価だったので購入してみました。
確かに味がしっかりして美味しかったです。
からだ想い だしわりしょうゆ 500ml
「からだ想い だしわりしょうゆ」は、普通の醤油と比べて、食塩50%以上、カリウム90%以上、リン60%以上カットした天然だしの醤油です。(「日本食品標準成分表2015」こいくちしょうゆと比較)
栄養素も、3ml当たり食塩相当量0.19g、100ml当たりのたんぱく質3.1g、リン37.9mg、カリウム22.4mgとすべて低いため、安心して様々な料理に使えます。遺伝子組換大豆も不使用です。
減塩醤油は薄味で物足りなく感じることもありますが、このシリーズは天然だしのうまみがそれを補ってくれるため、満足できる味わいに仕上がっています。ご家族でご一緒にお使いいただけます。
【購入者様の声】
お世話になります。主人が透析をするようになって14年。減塩醤油は店頭に増えましたが、それにプラスして、リン・カリウムの少ない醤油はないかと探していて、気に入ったのがこのだしわり醤油です。とても美味しいので、ほとんどこれを使っています。これからも続けて使わせていただきます。
低リン乳 125ml×24本
牛乳は美味しく豊富な栄養素を摂れるため、好きな方が多い食品のひとつです。ですが、腎臓病の食事療法がスタートしてから、以前のように気楽に飲めなくなってしまった方もいるのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのが、この「低リン乳」です。
低リン乳は、普通の牛乳に比べてカリウムを25%、リンを50%カットしてあります。ですがカルシウムの約80%を保ち、牛乳の美味しさもそのまま味わえます。
125mlという飲みきりサイズで常温保存もできるため、とても使いやすい商品です。
【購入者様の声】
低リン乳リピーターです。
腎臓食の為、毎日1本飲むので毎月購入してます。
手のひらサイズで、味は普通の牛乳と変わらず美味しいです。
お勧めです。
まとめ:低カリウム・低リンは食品と食材選びから
腎臓病の食事療法では、塩分に続いて、カリウムとリンについても摂取量に気をつけたり、時には制限したりすることがあります。
ですが、これらの摂取量は、腎臓の状態やステージによって必要かどうかが分かれます。この点が塩分とは異なります。
確かに摂取量を気にする必要はありますが、足らなくなると健康を維持できなくなる大切な栄養素でもあります。
ご自身やご家族の腎臓病食については、必ず主治医や管理栄養士のアドバイスを受けながら行うようにしましょう。