半固形経腸栄養剤とは?胃ろうの栄養剤についてよくあるQ&Aやメリットを解説!

半固形経腸栄養剤とは?胃ろうの栄養剤についてよくあるQ&Aやメリットを解説!
半固形経腸栄養剤とは?胃ろうの栄養剤についてよくあるQ&Aやメリットを解説!

近年、介護食の通販サイトや記事でよく「半固形経腸栄養剤(濃厚流動食品)」という言葉を目にするようになりました。これは、「胃ろう」という方法に使われる栄養剤や食品のことです。

胃ろうは、嚥下困難な方や、むせて肺炎を起こしてしまう方などが栄養を摂るために、胃に小さな穴を開けて直接栄養を送る方法です。

今回の記事では、胃ろうを造設している方が使う半固形経腸栄養剤について解説します。初めて知る方にもスムーズに理解してもらえるよう、最初に胃ろうの基本的な説明から始めています。
次に、経腸栄養剤やこれまでのような液体栄養剤との違い、半固形経腸栄養剤のメリット・デメリットなどについて幅広く紹介します。

また、おすすめの市販品の半固形経腸栄養剤も紹介しているので、そちらも併せて参考にしてみて下さい。

 

 

半固形経腸栄養剤とは?よくあるQ&A

栄養療法には、「腸が働いているなら、腸を使おう!」という大原則があります。腸を経由して体に必要な栄養素を摂る経腸栄養も、それに則っています。

今回の記事で紹介する「半固形経腸栄養剤」は、栄養剤や食品を胃へ直接注入し、腸を使って栄養を摂るためのものです。経腸栄養は人間がもともと持っている消化・吸収機能を使うため、体にあまり負担をかけないことがメリットです。

Q&A(1)胃ろう(胃瘻)とは?

「胃ろう」とは、お腹に穴を開けてチューブを通し、胃に直接、栄養剤や食品などを送るためのものです。手術が必要になるため、一般的には6週間以上の長期にわたって経腸栄養が必要になる場合に行われます。

一方、鼻から胃までチューブを通して栄養を摂る方法(経鼻経管栄養)は手術が必要ないので、短期的な場合に選択されます。

Q&A(2)「半固形」はこれまでの液体栄養剤となにが違う?

鼻から胃へチューブを通す場合に使われる「液体栄養剤」は、液体のため、胃食道逆流が起こりやすいデメリットがあります。また、1回の注入時間に約2時間かかってしまいます。

そこで、液体栄養剤に増粘剤やゲル化剤(固形化調整剤)などを加えてとろみ(粘度)をつけたものが半固形経腸栄養剤です。シェイクやスムージーのようにとろみがあるため、胃食道への逆流を大幅に軽減できます。
また、1回にかかる時間が約15分ととても短いところも大きなメリットです。

Q&A(3)経腸栄養剤の「食品扱い」と「医薬品扱い」の違いは?

経腸栄養剤には「食品扱い」と「医薬品扱い」の2種類があります。これらは成分上はっきりとした違いがあるわけではありませんが、管理している法規や費用などが異なります。

〈食品扱い〉
法規:食品衛生法
医師の処方:不要
保険適用:なし
個人購入:可

〈医薬品扱い〉
法規:薬機法(旧薬事法)
医師の処方:必要
保険適用:あり
個人購入:不可

経腸栄養剤は、入院中には濃厚流動食という「食事」として提供されます。食品扱いのものを退院後に使う場合、医師の処方は必要ありません。ですが、自己負担となるため、保険適用のある医薬品の経腸栄養剤よりも経済的負担が大きくなります。

半固形経腸栄養剤のメリット4点を解説

半固形経腸栄養剤(濃厚流動食品)の主なメリット4点とデメリットを解説します。

メリット(1)胃食道逆流が起こりにくくなる

半固形経腸栄養剤(濃厚流動食品)は液体のものに比べてとろみがあるので、胃から食道への逆流を軽減できます。また、それが原因で起こる逆流性食道炎や誤嚥性肺炎なども同時に防げます。

メリット(2)栄養剤がリーク(漏れ)しにくくなる

とろみや粘度のある半固形経腸栄養剤は、胃ろうの隙間から流れ出しにくいため、リーク(漏れ)を減らせます。それによって、液体経腸栄養剤よりもスキントラブルを防止できます。

メリット(3)下痢・ダンピング症候群の予防

とろみのある半固形経腸栄養剤は、液体栄養剤よりもゆっくりと胃から少しずつ排出されるため、自然な形で胃腸を使うことができ、下痢症状が緩和される効果があります。
それ以外にも、胃に食べ物が留まらないダンピングという症状を予防できます。

メリット(4)投与時間を短縮できる

液体栄養剤は、1回の注入時間に約2時間かかります。注入時間中に同じ姿勢でいるため、褥瘡になりやすいこともデメリットです。

それに比べて、半固形経腸栄養剤は1回約5~15分ととても短くて済みます。褥瘡予防のほか、自由時間をリハビリや趣味などに使えます。
また、時間の短縮によって介護者の時間・労力などの負担も大幅に減らせることも、多数報告されています。

デメリット 手術が必要・食事アレルギーがある場合も

半固形経腸栄養剤にするためには、手術で胃ろうを造設する必要があります。手術そのものは約30分ほどで終わりますが、その後誤って抜いてしまうと再手術が必要です。

また、半固形の食品を始めた直後は食事アレルギーが起こる場合もあるので、注意して下さい。特に、これまで液体栄養剤のみを注入していた方の場合は初めて食材を摂ることになるので、慎重に経過を見守る必要があります。

半固形経腸栄養剤・流動食のおすすめ3選

半固形経腸栄養剤(濃厚流動食品)には様々な種類があり、含まれる栄養素やとろみの成分、カロリーなどがそれぞれ異なっています。
用途に合わせてお選びいただけるので、ぜひチェックして下さい。

濃厚流動食品 ハイネゼリーAQUA 250g×18個【3ケースご注文で送料無料】

「ハイネゼリーAQUA」は、胃ろうから栄養補給されている方のための半固形経腸栄養剤(濃厚流動食品)です。
1袋(250g)当たり200kcal/たんぱく質10gです。たんぱく質や脂質などもバランスよく配合しています。また、これ1袋で水分量も同時に202ml摂れるようになっているため使いやすい点もおすすめです。

リカバリーニュートリートBesolid 400kcal 267g×16パック

「リカバリーニュートリートBesolid」は、酸性下でとろみになる、使いやすい流動食です。
1袋当たり400kcal、たんぱく質20g、コラーゲンペプチド、乳酸菌、ビタミン、ミネラルなどを配合しているため、1パックで豊富な栄養素を摂れます。

また、カロリー別に300kcalタイプ・400kcalタイプ・500kcalタイプの3種類が揃っているため、より合ったものをお選びいただけます。

F2ライト EJ容器 400kcal 533g×12

パッケージがリニューアル致しました。
水分調整の手間を省いたとろみ栄養食です。
4,000mPa・sの粘度に調整済みでとろみをつける手間を削減できます。
100kcalあたり110gの水分を含有。水分追加のための手間を軽減。

まとめ:メリットの多い半固形経腸栄養剤で楽に食事を

「半固形経腸栄養剤(濃厚流動食品)」は、胃ろう(胃瘻)から栄養剤や食品などを摂る方のための商品です。経腸栄養剤は含まれる栄養素やカロリーなどがとても幅広いので、用途に合わせて使い分けられます。

とろみのついた半固形経腸栄養剤は、液体栄養剤のデメリットである胃食道逆流やチューブからのリーク(漏れ)が起こりにくくなります。誤嚥性肺炎やスキントラブルなども軽減できるため、積極的に取り入れている病院や施設が増えています。

半固形経腸栄養剤は、お体の状態や年齢などによってメリットやデメリットが異なるため、主治医ともよく相談した上で、ご本人とご家族でよく検討なさって下さい。

胃ろう用半固形流動食はこちら

介護食カテゴリの最新記事