「減塩」は、近年、健康をテーマにした情報記事の中でとても目にすることが増えたワードです。普段の食事から塩分を減らすことの大切さが、多くの方に知られてきている証でもあります。
今回の記事では、減塩の大きなポイントになる「ナトリウム」と「食塩相当量」について解説します。
前半は食塩相当量の計算方法、後半はナトリウムや塩分に関するQ&Aや、減塩商品の落とし穴についても紹介しているので、ぜひ目を通して下さいね。
腎臓病食や減塩に!ナトリウムと食塩相当量の「換算式」を知ろう
腎臓病食や減塩、健康食などで大きなポイントになるのが「塩分の管理」です。私たち日本人のほとんどは理想の量よりも多く摂っているため、減らしていくことが大切です。
毎日の塩分量を把握する際に必要になるのが、食品の栄養成分表にある「ナトリウム」と「食塩相当量」です。
最近の食品、特に減塩商品はどちらも併記してあるものが増えてきました。ですが、ナトリウムしかない場合は、食塩相当量を計算で出すことになります。
ナトリウムと食塩相当量の「換算式」は、主に2種類あります。ここではそれぞれの計算方法やコツについて解説します。
(1)ナトリウムから食塩相当量を計算
ナトリウムと食塩は、同じものではありません。
そのため、もしも食品の栄養成分表に食塩相当量が載っていない場合は、ナトリウムの値を換算式に当てはめて計算します。
ナトリウム量(mg)×2.54 ÷ 1,000 = 食塩相当量(g)
(2)もっと簡単に!おおまかに計算するには
前の段落で紹介した換算式は少し計算が複雑なので、それほど細かい数値が必要ない場合や、手元に電卓がない場合のために、もっと簡単に短時間でできる計算式も覚えておきましょう。
ナトリウム量 約400mg=食塩相当量1g
ナトリウム量は393mg=食塩相当量1gです。そのため、約400mgで計算しても近い数字はわかります。
例えば、ナトリウムの量が500mgの場合、
500mg÷393mg=1.27g…
500mg÷400mg=1.25g
きちんと近い数字になりますが、計算は後者のほうが断然しやすくなります。
(3)ネット上の自動計算やアプリにも頼ろう
インターネットやスマホのアプリには、ナトリウム量の数値を入れるだけですぐに食塩相当量が自動計算できるものがたくさんあります。とても便利なので、ぜひ活用しましょう。
ナトリウムと食塩について よくあるQ&A
ここからは、ナトリウムと食塩についてよく聞かれるQ&Aを紹介します。日々の減塩にも活用できるので、ぜひ押さえておきましょう。
(1)ナトリウムと食塩はどう違う?
ナトリウムと食塩はそもそも何が異なるのか、気になりますよね。
普段私たちが「食塩」「塩」と呼んでいる調味料は、「塩化ナトリウム」のことです。塩素とナトリウムが結合したものが、食塩なのです。
そのため、ナトリウムと食塩相当量はイコールではなく、食塩の成分の一部(約40%)に当たります。
(2)ナトリウムの1日の適量は?
1日の塩分摂取量(食塩摂取量)の基準について、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」では、男性が7.5g未満、女性は6.5g未満となっています。
それ以外にも、お体の状態によって食塩摂取量の基準は少しずつ異なります。
腎臓病の方:3~6g未満
人工透析患者の方:6g未満
高血圧の方:6g未満
WHO(世界保健機関)の食事摂取基準:5g未満
ちなみに、現在の日本人の1日当たりの平均塩分摂取量は、下記の通りです。
男性: 11g女性 : 9.3g
理想量を大幅に上回っているため、この機会に食生活を再確認することをおすすめします。
(3)ナトリウムを摂りすぎるとどうなる?
ナトリウムの過剰摂取で起こりやすい症状は、高血圧です。高血圧から動脈硬化が起き、それが原因で脳卒中や心筋梗塞といった様々な合併症を引き起こします。
また、慢性腎臓病の方の場合、ナトリウムの過剰摂取で腎臓に負担がかかり、腎機能低下を早めることになってしまいます。
高血圧は生活習慣の見直しで改善できることが多いので、これからも食事面にも気を配るようにしましょう。
(4)減塩商品を使ったらカリウムが増えたのはなぜ?
慢性腎臓病の方の中には、せっかく塩分に配慮して減塩商品に切り替えたのに、なぜか血中のカリウムの数値が高くなった経験がある方はいらっしゃいませんか?
これは、減塩を謳っている多くの食品が、その代わりに大量の塩化カリウムを使っているためです。
カリウムは、通常食の方には影響ありませんが、慢性腎臓病で制限のある方は摂取量に注意が必要な栄養素です。そういう方が減塩食品を選ぶ際には、必ず「たんぱく質・塩分・カリウム・リン」をすべて控えているものにしましょう。
「お客様のためを想った減塩商品」と言っても、このように別の栄養素で増やしている食品は数多くあります。
減塩や健康食を心がけている方も、できるだけ食品の栄養成分表をよくチェックしてから減塩食品を選ぶことをおすすめします。
健康食や腎臓病食にも!安心して使える減塩商品おすすめ3選
腎臓病食の方にも健康食の方にも、安心して召し上がっていただける商品を紹介します。
減塩げんたぽん酢 360ml
「減塩げんたぽん酢」は、塩分を控えながらも、果汁と穀物酢を贅沢に使用しているため、ゆずの風味と香りをしっかり味わえる人気商品です。
減塩商品の中には、ナトリウムを減らす代わりにカリウムで味つけしているものもあり、腎臓病食の方には注意が必要です。
ですが、この「げんたシリーズ」はどれもカリウムやリンも調整してあるため、安心してお使いいただけます。ぽん酢以外にも、げんたしょうゆ(本醸造)やげんたつゆ(6倍濃縮)などのラインナップがあります。
【購入者様の声】
スーパーでも減塩商品を置くようになりましたが、ナトリウムを減らす代わりにカリウムを増やしている商品も多いので、これがベストと思い利用しています。
三島のうどんスープ 8g×10食入
「三島のうどんスープ」は、食塩相当量を1袋当たり1.3gに控えていますが、鰹と昆布をバランスよく配合したダシの旨みがきいているため、満足できる風味に仕上がっています。
うどんスープというネーミングですが、蕎麦やそうめん、煮物や和え物など、様々な料理に一年中ご使用いただけます。粉末タイプで持ち運びしやすいので、外出時の昼食にもおすすめです。
【購入者様の声】
塩分1.2gだけあって薄味なので、湯は半量の100ccにして、鰹節を3g(塩分0.04g、タンパク質2.27g)をのせて鰹節の出汁と風味をプラスしています。
塩分計 しおみくん SO-303
「塩分計 しおみくん」は、味噌汁やスープといった液体の塩分濃度を手軽にチェックできる塩分計です。腎臓病食や減塩食の方のために、タニタが開発しました。
体温計のような形をしており、味噌汁などの中に入れて測ります。0.4%~1.4%の範囲で、薄味、普通味、から味を6段階で表示します。自動温度補正機能付きなので、30℃~90℃までの範囲で測定できます。
電池の寿命は、1日5回の使用で約6カ月です。電池交換も可能です。
まとめ:食塩相当量の換算式は続けやすいものを使おう
「食塩相当量」は、腎臓病食の方や減塩を心がける方が、毎日の塩分を管理するためにぜひ知っておきたい値です。食品の栄養成分表に載っていれば問題ありませんが、ない場合は「ナトリウム」から計算します。
記事の前半には、その換算式について紹介しました。
食塩相当量の細かい数字をしっかり確認したい方、おおまかに短時間で計算したい方、自動計算で知りたい方など、それぞれいらっしゃると思います。
ご自分の性格や生活スタイルに合ったものはストレスが少なく続けやすいので、おすすめです。
ヘルシーが強みの減塩商品でも、お体に合わないものはあります。また、腎臓病の食事療法を行っている方は、購入前に必ずカリウムの量を成分表でチェックして下さい。
そして、できるだけ塩分・たんぱく質・カリウム・リンをすべて控えた食品の中から選ぶことをおすすめします。