「腎臓病の食事療法が始まってから、なんとなく以前よりも便秘になりやすくなった気がする」と感じる方は多くいらっしゃいます。
実は、腎臓病と便秘は無関係ではありません。お食事の内容が変わり、これまでにはなかった症状に悩まされることがあります。便秘もその一つです。
今回の記事では、「腎臓病と便秘」をテーマに解説します。
なりやすい原因や腎臓に与える影響のほか、便秘を解決するためのポイント3つなども併せて紹介します。
毎日の暮らしに手軽に取り入れられる方法を選んでいるので、ぜひ試してみて下さい。
腎臓病の方は便秘になりやすい?その原因は?
近年、研究結果によって「腎臓病と便秘は関係がある」と考えられるようになってきました。腎臓病の方の腸内では、善玉の腸内細菌の数が減り、腸管への負荷が増えることが、主な原因だと言われています。
はっきりとしたことはまだわかっていませんが、そうなる原因として、今のところ下記のようなことが挙げられています。
・カリウム制限によって食物繊維の摂取量も減る。
・腎臓病の薬の影響。
・腎機能が弱まることで、体が酸性になる。
そのため、専門医は、ふたつの関係性を考慮しながら腎臓病の治療を行うことになります。
(1)食物繊維の豊富な食品を摂りにくい
腎臓病の食事療法が始まると、野菜や果物、ヨーグルトや納豆といった発酵食品など、食物繊維を含む食品を摂りにくくなります。その影響で便秘になる方が多い傾向です。
ですが、これらの食品は、ビタミンやカルシウムといった様々な栄養素も豊富に含んでいます。できるだけカリウムをカットしたり、量を調節したりして、上手に取り入れましょう。
(2)透析の水分制限
透析を行っている方は、特に便秘になりやすい傾向にあります。主な原因としては下記のようなことが考えられています。
・水分制限や透析治療による除水で、腸内の水分量が減る。
・野菜や果物の摂取量が限られているので、食物繊維が慢性的に不足しやすい。
透析中の方が水分を増やすことは難しいので、食事療法や内服薬、運動などによって便秘の改善を行うことが一般的です。
便秘が腎臓病に与える影響はある?
現時点ではまだはっきりと「便秘が腎臓病を低下させる」という結論は出ていません。そのため、専門医は「腎機能を低下させる可能性がある」ということに基づき、腎臓病の方に便秘の治療を行います。
便秘が腎臓病に与える影響は、主に以下の3つだと考えられています。
・尿毒素を増やす。
・その尿毒素が腎機能を低下させる可能性がある。
・不要なミネラルが溜まり、高カリウム血症などを引き起こす可能性がある。
増えすぎた尿毒素は、筋肉や骨、心臓などにも悪影響を及ぼします。しっかり治療を行っていくことが大切です。
腎臓病食で上手に便秘解消!ポイント3つとは?
腎臓病の食事療法を行いながら上手に便秘を改善するコツは、3つあります。ぜひ普段の食事に取り入れて下さい。
(1)食物繊維が多くカリウムが少ない食品を覚える
腎臓病の食事療法を続けながら便秘を改善するには、食物繊維が多く、カリウムが少ない食品を覚えるのがおすすめです。最初のうちは、冷蔵庫などにイラストや写真などを貼っておくとよいでしょう。
カリウム制限のある方や透析の方の場合は、ある程度食品を覚えてしまったほうが近道です。
穀類・芋類:オートミール、コーンフレーク
大豆類:おから、枝豆
果物:柿
野菜・きのこ・海藻類:もやし、しいたけ、マッシュルーム、こんにゃく、ぜんまい(水煮)
(2)野菜はカリウムを減らして使う
野菜はできるだけカリウムを茹でこぼしたり、水にさらしたりしてから使いましょう。茹でこぼしの時間の目安は、葉物が約3~5分、根菜は約10~15分です。
ですが、中には茹でてもあまりカリウムが減らない食材もあります。じゃがいも、にんじん、かぼちゃ、なす、芋類などはそれほど変わらないので、使う際は小さく切り、たっぷりのお湯で茹でて下さい。
(3)市販品の腎臓病食で手軽に食物繊維を
たんぱく質をはじめとする4栄養素を制限しつつ、そのほかの栄養素もしっかり摂るのは、やはり難しいものです。
そういう方には、毎日の暮らしに市販品の腎臓病食を取り入れることをおすすめします。
市販品の腎臓病食は、塩分・たんぱく質・カリウム・リンの4栄養素を含まないものがほとんどです。特に、ゼリーやジュース、低たんぱくのパンやごはんなどは食物繊維がプラスされているものが多いので、便秘に悩む方におすすめです。
また、不足しやすいビタミンやミネラル、カルシウムなどが配合されている商品も数多くあります。リーズナブルな価格で手軽に購入できるので、ぜひ活用しましょう。
ふだんの食事やデザートに!食物繊維がラクに摂れる市販品3選
毎日の食事やデザートとして手軽に召し上がれて、便秘も解消できる腎臓病食の市販品を紹介します。
ミニタス 食物繊維ゼリー もも味27g×9個
「ミニタス 食物繊維ゼリー」は、1個たったの27gでエネルギー30kcal、食物繊維を7.0gを摂取できるゼリーです。毎日の食事にプラスしても負担のない、小さな食べ切りサイズです。
たんぱく質はゼロなので、腎臓病の食事療法を行っている方にぴったりです。
食べやすさにも配慮してあり、やわらかさはユニバーサルデザインフード(UDF)の区分で「舌でつぶせる」程度です。
同シリーズにはこれ以外にも、エネルギー100kcalを摂れるりんご味、たんぱく質を5g摂れるオレンジ味があります。どれもさっぱりとした風味で人気があるので、ぜひ気軽に試して下さい。
食物せんい 500g
「食物せんい」は、飲み物や料理に混ぜるだけで手軽に食物繊維が摂れる、水溶性でサラサラとした食品です。腎臓病食を始めてから野菜を摂る量が少なくなり、便秘になりやすくなった方におすすめです。
本品は、還元難消化性デキストリンでできています。10gに食物繊維が8.2g含まれているので、1日5g~10gを目安にお召し上がり下さい。
【購入者様の声】
透析を始めて野菜を摂る機会が減り、便秘気味でした。
何か効率よく食物繊維を摂る方法を見ていてこちらの商品が目に留まりました。
まだ使い始めて間もないですが、効果が出てる感じはあります。
継続的に使用してみようと思います。
まぜごはんのもと 三島の五目御飯(しょうが風味) 50g 低たんぱく食品
「まぜごはんのもと 三島の五目ごはん」は、温かいごはん150g~180gに混ぜるだけで、しょうが風味の五目ごはんが完成するレトルト食品です。
1袋でエネルギー110kcal、食物繊維3.2gを摂取できますが、たんぱく質はしっかり2.2gに控えられています。
冷めてもしょうがの風味を味わえるので、お弁当にも人気があります。
同シリーズには、これ以外にもちらしずしがあります。低たんぱくでも食物繊維・カルシウム・マグネシウムを摂取できるので、ぜひ召し上がってみて下さい。
【購入者様の声】
腎臓病食は夏の季節どうしてもパターン化・マンネリ化してしまうので、「まぜごはんのもと」は食卓に変化をもたらすには持って来いの商品と思います。
「しょうが風味」は、食欲が落ちる暑い季節には食欲を刺激してくれるようです。食の細い母が喜んで食べてくれますので助かっています。
まとめ:腎臓病にも影響する便秘は毎日の食事から見直そう
近年、研究によって「腎臓病と便秘は関係がある」と考えられるようになりました。そのため、便秘の治療も腎臓病の治療の一環として取り入れることが増えています。
腎機能低下の原因にもなるので、しっかり治療することが重要です。
食物繊維を豊富に摂ることが大切ではありますが、食事制限でそれが難しい場合は、腎臓病食の市販品を活用することをおすすめします。1口サイズのゼリーや普段の食事に混ぜられる顆粒タイプなど、様々な商品が販売されています。
ご自分の生活スタイルに合う商品が必ず見つかるので、ぜひチェックしてみて下さいね。